ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

松山の2勝目

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まさかね、と言う感じだった2勝目。
「良くやったな」と言う感じと、このふてぶてしさは「今迄の日本人選手になかったタイプだな」と言う彼の印象を更に強く感じる結果だった。

2勝ともがプレーオフでと言う事が、彼の勝負強さを表しているし、彼の評判通りの特徴が良く出ているもんだと思う。
石川遼と比べてみると、ちょうど野球の田中将大斎藤佑樹の関係と似ている。
早熟で天性のセンスこそあるものの体格に恵まれず、更に上のレベルで苦労する斎藤と石川。
それに比べると、荒削りではあるものの大きな体力(所謂大きなエンジン)に恵まれて、遅れても更に上のレベルで大きな花を咲かす田中と松山。

同じセンスなら当然馬力が大きいものが有利になるプロの世界で、松山は十分欧米の大排気量エンジンのプロに対抗出来る馬力を持っている。
ただ、以前から日本人選手でも「馬力が大きい」と言われた選手は何人も米ツアーに挑戦していた。
それが上手く行かなかったのは、まず基本的な技術と精神的な問題。
エンジンがでかいからと言ってより難しい条件のアメリカツアーのコースに対抗出来る訳でもなく、技術があっても厳しいツアーの雰囲気の中で平常心で戦える精神力を持っていなければ結果なんて残せるはずもない。

松山は「物事に動じない」、「度胸がある」と言う言われ方は今迄にあったが、彼は実は案外繊細で神経質なところもあって記者にとっては面倒なプロの一人だと聞いた事がある。
気に入らない質問には答えないし、気が乗らないと質問に対してもほとんど喋らないなんて事が普通にある。
何時でもどんな状態でも質問にきちんと答えようとする石川と違い、ことゴルフにおいては自分の気分を通す我が侭さがあるのだ(それはある意味、松山が自分のゴルフに対して圧倒的な自信を持っていると言う事でもあるのだろう)。
未熟ではあるかもしれないが、周りを気にせずにそれを試合でも平気で出せる精神力=「鈍感力」こそが松山のゴルフの強さの原点であるように私は思う。

こういう人間はゴルフでは強い...気を使ういい人間になると、その強さは影を潜めてしまう事が多い。
今の鈍感力で、彼はまだまだ勝てるだろうと感じる。
多分、アメリカで世界と戦うにはそれで良いのだと思う...いい人間になるのはその戦いを終えた後でいいのかも。

ただ、私は彼のスイングは彼の身体...特に腰と背中に非常に無理な力がかかっていると思う。
タイガーのスイングも30代で壊れると感じていたが、松山のスイングも30歳前に壊れそうな気がする。
これは腕の良いトレーナーと相談しながら、長期的なビジョンでスイング改造をしなくてはならないんじゃないか...そんな気がする。
そして、気になっているのが彼のスロープレー。
ペナルティーを受けた前科もある事だが、ゴルフ中継での彼のプレー振りを見ているとあまりに一つ一つの動作に時間をかけ過ぎて、「イラッ」とする事が多いので....生で彼の中継を見る事は好きじゃない。
見ている人の為にも(実際はそんな事じゃ強いゴルファーになれないんだけどね)、もうちょっとプレーを速くしてくれ!

...もしメジャーで優勝争いをするようになれば、そのスロープレーは絶対に多くの敵を作るから。



でも、松山、2勝目、おめでとう。