ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ライの顔を立ててやれ

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「ライの顔を立ててやれ」...高松志門。

高松志門プロは、1995年GD社の「レッスンオブザイヤー」となってブレークした。
「ゆるゆるグリップ」が評判となり、その陽気なキャラクターと相まって人気者になった。
当時、はるばる岡山まで取材に行っていろいろと話を聞いたのが懐かしい。

彼のデモンストレーションの、いろいろなところに乗せたボールの曲打ちや、4個のくっつけておいたボールを端から打って行く連続打ち、スライスとフックを工作させる曲げ打ちなんかが新鮮な驚きであった。

彼の言い回しも、当時は他で聞けない独特の言い回しで面白かった。
そんな言葉の一つがこの「ライの顔を立てる」という言葉。
簡単に言えば、そのボールの「ライ」が打てる球筋を語りかけているのだから、その顔を立ててやれという事。
例えばボールからグリーンまでが140ヤードだとすると、普通のゴルファーはその残り距離でクラブを選ぶ。
ボールが多少変わった所にあっても、せいぜい1番手大きくするか小さくするかだ。

ところが彼によると、まずボールのライはラフかフェアウェイかベアグランドかで違う。
これはわかるだろう。
次に同じフェアウェイでも、左足上がりのライ、左足下がりのライ、つま先上がりのライ、つま先下がりのライ、そしてこれらが複合したライがある...その組み合わせは無限と言っていいくらいだ。
練習場と違って、一応自然の中で遊ぶのがゴルフというゲーム。
自然の中にまったく同じライなんて絶対にない。
だから彼は、「ゴルフはライのゲームだ」とよく言う。

そのライで、普通に打つとボールはライの影響を受けた球筋となる。
つま先下がりでは右へ、つま先上がりでは左へ、左足上がりでは左へ、左足下がりでは右へ。
そして、傾斜だけではなく芝の上に乗っている場合、沈んでいる場合、ボールの手前に芝の葉がある場合...皆違う飛び方をする。
ラフに入ったら、潜っている場合でも浮いている場合でも、練習場のような飛び方は絶対にしない。
ベアグランドやフェアウェイバンカーなら、さらに...

その「ライの顔を立てる」というのは、これらの影響を理解した上でそういう球が出る事を理解して打て、という事だ。
一寸上手くなるとつま先下がりのライで、右に行くのを嫌がってさらに左に打ってしまうなんて事が結構ある。
これは「ライの顔」を立てないで無理して打って、更なるトラブルを招いたという訳。

まず我々は、ボールのところに行ったら残りの距離よりもそのライを十分に確かめ、その上で使う番手と球筋を予想した方がいい。
ライの顔を立てさえすれば、次のショットの球筋の予想が出来、飛距離の予想もつく。

ただし、そのライからの球筋は予想がつくが、その方向には更なるトラブルが存在している場合(池とかOBとか)、どうしてもライに逆らう球筋が必要になる場合がある。
そうした場合は、安全なところに脱出するか、一か八かの逆球ショットに賭けるかの二者択一。
どっちでも、自分で選べるのがゴルフのいいところ。

失敗しても自分の選んだ事だからと、覚悟を決めてやるなら問題ない。
何も考えずに打ったあと愚痴や言い訳や後悔を口にするより、ライをわかった上での自分の選んだショットだったら失敗しても納得できるはず。