ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

免許を取る...

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Nさんは、55歳。
幸いな事に身体に不具合は無く、月に1~2回ゴルフを楽しむほどの余裕はある。
ゴルフ歴は15年ほどだけど、腕は100を切ったり切らなかったり...というより、いつも100を切るのが目標で、切ったら1週間は嬉しい状態が続く程度の実力。

Nさんには、Yさんという10歳年上の「師匠」兼「ゴルフ仲間」兼「親友」がいる。
このYさんに誘われてゴルフを始め、ゴルフを教わり、Yさんの車でゴルフ場に遊びに行って来た。

そのYさんに問題が起きた。
「あたし、車の運転やめるわ」
「目が悪くなって、事故起こしそうなのよ」

なんでも、白内障が悪くなって車の運転をしていて標識や信号が見辛くなったんだと言う。
つい最近、そんな信号の見落としで事故を起こしかけたんだとか。

Nさんは、途方に暮れた。
Nさんは車の運転免許を持っていない。
以前、夫からも何度か「免許とれば?」と言われた事があったけれど、特に必要とも思えずに今まで来てしまった。

免許を取るべきなんだろうか?
自分に車の運転ができるんだろうか?
...この年になって。

3ヶ月悩んだ。
その間、Yさんも自分もゴルフに行っていない。
運転をやめたYさんの代わりに、他の誰かの車でゴルフに行くという気になれなかった。

...運転免許を取るお金は、自分のへそくりでなんとかなる。
時間も十分ある。
自動車教習所も近くにある。

...自分が免許を取れば、Yさんを乗せてゴルフに行ける。
幸い自分は目も悪くないし(老眼は来ているが)、身体も頭も多分大丈夫。
運動神経だって悪くはない(と思っている)。
年を取って運転免許を返上するまでに、あと15年は車に乗れる。
車はYさんの乗っていた車のような立派な奴は買えないが、軽自動車だって二人分のゴルフバッグを積んでコースには行ける。
危ないと言うなら普通車の中古の車で十分だ。

「免許を取ろう」、決心した。
今月初めから教習所に通い始めた。
実際の運転は面白く順調だが、面倒で苦戦しているのが法律やルールの勉強。
Nさんは、実技より学科で苦労しそうな気がしている。

まだ始まったばかりの教習所通いだが、だんだんやる気は増して来ている。
免許を取れるのは3ヶ月後か、もっとかかるか...
ともかく事故を起こさない安全運転のドライバーを目指して、Nさんは数十年振りの勉強を続けている。

まず免許を取ったら、Yさんを乗せてゴルフ練習場に通う。
そして、運転もゴルフも十分練習できたら、Yさんを乗せて近い河川敷のゴルフ場から訪ね始める。
だんだん慣れて来たら、遠くのコースにも行くようにする。
そして、いつか100キロ以上離れたコースにだって、四季折々の風景を楽しみながら行けるようになりたい。

考えてみれば、いつも助手席に乗せてもらって来たような自分の人生。
運転席に座るなんて、自分の人生にはない事だと思っていた。
自分が車を運転して行きたい所に行けるなんて、考えても見なかった。

Nさんは、運転免許を取れると自分の人生観も変わるような気がしている。
当然、ゴルフのスタイルも変わるような気がする。

これからが、
大変だけど、楽しみだし待ち遠しくもある。