ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

さよなら、セベリアーノ・バレステロス

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セベ...セベリアーノ・バレステロスが54歳の若さで、脳腫瘍のために亡くなったというニュースを聞いた。

30半ばで私がゴルフを始めた頃は、セベリアーノ・バレステロスが一番輝いていた時代だった。
19歳でヨーロッパツアー賞金王。
22歳で全英オープン勝利。
23歳で史上最年少マスターズ勝利。

そのマスターズ優勝の時、ニクラスをして「この青年は、このあとメジャーで一体何回勝つんだろう」と呆れさせた天才だった。

セベのゴルフの一番の特徴は、その奔放さにあった。
いつも同じ奇麗なフィニッシュをとるスイングフォームにも関わらず、彼のボールはよく曲がった。
それも半端な曲がりではなく、となりのホールの向こう側迄打ち込むなんて日常茶飯事。
それをとんでもなく自由なリカバリーショットで、魔法のように攻略する。
全英オープンで、駐車場に打ち込んだボールをグリーンに乗せてバーディーとしたシーンなど、我々の予想と期待を笑い飛ばすようなゴルフは魅力的だった。

なにより、彼のゴルフが面白いのは、そのゴルフを彼自身が楽しんでいるように見えた事。
タイガーがトラブルに陥った時に見せる、何とも不愉快そうな腹立たしそうな表情とは全然違う。
タイガーが仕事としてやっているゴルフに見えるのに対して、セベのゴルフは自分が楽しんでいるゴルフに見えた。
日本に来たのは私がゴルフを始める前だったけれど、そのハンサムで上品そうな外見が「スペインの貴公子」と呼ばれて人気になっていたのは知っていた。

しかし、ずっと続くと思われていた「セベの時代」は、意外と速く終わってしまった。
スペインの貴族の娘と結婚する、なんていうニュースが伝わり、しばらく試合に出なくなった。
庶民出のセベが、貴族の娘との結婚で苦労している、とか腰を痛めた、とかのニュースが断片的に伝わって来た。
そして、何年かして久しぶりに姿を見せたセベの姿が、「貴公子」のハンサムな風情から、「ただのスペインの親父」のようにオーラが消えていたのに驚いたものだった。
...その後、結局セベが再び輝く時は来なかった。

メジャー通算5勝(全英オープン3勝、マスターズ2勝)。
世界通算80勝以上。
1980年代に、通算61週「世界1位」を保持した。

1957年4月9日生まれ。
2011年5月7日死去。

自由で上手くて、なによりゴルフを楽しんだプロゴルファーだった。

早すぎる...


(追記...セベが結婚して苦労したと噂されていた「王族の娘」とは、結局離婚していたという事を最近知った。・・・合掌)