ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2010マスターズ雑感

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誰が優勝するか? なんて言う興奮も、終わってしまえばマスターズはいろいろな事を改めて考えさせてくれる「お祭り」だった。

皆の興味が集まっている優勝争いに絡めなかった、それぞれのドラマを持つ名手達の姿が気になった。

例えば、かってバレステロスの後を継ぐもの、超えるものと期待され、「神の子」と詠われたスペインのセルジオ・ガルシア。
今回の石川やマナセロよりずっと期待された、将来のチャンピオンを約束されていたような若者だった。
それが、いつの間にか30歳となり、もうその若さもスケールもオーラも輝きを失ってしまったように見える...バレステロスの方がはるかに大きな星だった、と改めて世界に認めさせて。

そして、20オーバーの最下位で予選落ちしたイアン・ウーズナムや、同じく下位で予選落ちしたスタドラー、ライル、クレンショーに比べて、上位で優勝争いまであと一歩だった同年代のワトソンのゴルフ。
そのワトソンより10年若いが、ショットの冴えは一番良かったとも言える「パットの入らない」フレッド・カプルスのゴルフ。
この二人に共通するのは、「ゴルフを楽しんでいる」という雰囲気。
元々、ボビー・ジョーンズが自分のプライベートなコンペとして、名手達を集めて始まった「マスターズゴルフ」。
その基本精神は「競いながらも楽しむ」ってことじゃないだろうか。
だから多くの選手達がマスターズに出る事を願うのは、そういうゴルフをする「マスタ-」として認められたいからなんじゃないかと思う。

タイガーが違う。
彼がゴルフを楽しんでいるとは思えない。
...初めてプロの試合に参加した頃、プロとして試合に出た頃はもう少し楽しんでいたように感じる。
強い選手に勝つ喜び、難しいコースで良いスコアを出す喜び、優勝して自分が強くなった事を実感する喜びが出ていた。
今はゴルフをする事を「仕事」「金を稼ぐ手段」あるいは「世間に自分を認めさせる手段」にしているように見える。
トム・ワトソンがタイガーに「もっとゴルフを敬愛するように」と言ったのはまさにその事だろう。
彼にゴルフを楽しむ日が再び来るんだろうか...

復活ならなかったけど、デビッド・デュバルは昔のように太って帰って来た。
ゴルフを目一杯楽しんでいるように見える、アンソニー・キムなんて若者が出現して来た。
アーニー・エルスやビジェイ・シンはそのピークを終えようとしているのか...
石川はテレビ局などの「ゴルフ以外」のプレッシャーに勝って、登っていけるのか。
海外に目覚めたという池田は、師匠だと言うジャンボと違って世界に飛び出していけるのか。

全英オープンでこんな事がどう変化するのかが...凄く楽しみ。