ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

タイガーの落日

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あまり興味も無かったので、早いスタートの石川遼のラウンドを見てから寝てしまった。
そして、朝起きてゴルフネットワークをつけてみれば、なんとY.E.ヤンの逆転優勝。
アジア人始めてのメジャー優勝に、興奮してガッツポーズを繰り返すヤンの後ろで、下を向いたままじっとしているタイガー・ウッズ

今まで、リードして迎えたメジャーの最終日は無敵だった。
今まで決勝ラウンドで、リードしているタイガーと一緒に回る欧米の「一流選手」は、誰もが借りてきた猫のように大人しくなってしまって、逆転どころかボロボロに崩れて行くのが普通だった。
ミケルソン、ビジェイ・シン、エルス、グーセン、ハリントン...いずれも名だたる名手が手も足も出ないで自滅して行く。

昨日のビジェイ・シンだって、まるで戦う前からビビっているように見えて、タイガーは実に楽にプレーしていた。
今名の売れている選手は、ほぼ全員タイガーコンプレックスにでもなっているようだ。
だから我々の話題は、「タイガーを食ってやる」という気迫を持った怖いもの知らずの生きのいい若手はいないものか、ということばかり。

勝ったのは韓国のY.E.ヤン...この選手のことは良く知らないが、タイガーを食ったのは韓国の「虎」ということか。
勝った時にタイガーと同じような派手なガッツポーズを繰り返したが、チャレンジャーにはある程度許されることだろう...それもタイガーの目の前だし。

そして思うのが、万全の流れで破れたタイガーウッズ。
...威嚇と恫喝のガッツポーズ、ミスしたときの道具やコースへの八つ当たり、上手く行かないときの不愉快そうな顔、観客へも隠そうとしない内心の怒り、不満...タイガーが「王者」となってからの、俺の嫌悪感の強まりは、多分彼がゴルフを楽しんでいるように見えないからだってことに気がついた。

ワトソンなんかの場合には、メジャーの試合の最中にも「ゴルフが好き」とか「ゴルフが楽しい」という表情が顔を出す。
以前全英オープンの時、夜中にトム・カイトらと抜け出して、開場となるコースでヒッコリーシャフトにフェザーボールを持ち出してプレーして、あとでR&Aから大目玉を食うなんていうエピソードがあるくらいだ。

しかし、タイガーにはそんな雰囲気は全く感じられない。
彼はゴルフが好きなんだろうか?
あくまで、「自分の仕事」として「金を稼ぐ手段」としてゴルフに接しているんではないか?
あるいは、自分の存在の理由として「ゴルフの試合に勝つ」ことが必要なんじゃないのか?

全米プロには興味は無いが、タイガーの落日を感じたこの日にそんなことを考えた。
もう無敵ではなく怪物でも特別でもない「普通の人間」プロゴルファー、タイガー・ウッズ
虚仮威しの醜いガッツポーズなんかしないで、心からゴルフを楽しむ時期が来ることを...願う。