ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2018年全英オープン4日目...なんと言う...

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興味をほとんど失っていた全英オープンだったが、俺の予想をはるかに超える面白い展開になった。

昨日、「応援したいのはモリナリとシャウフェレだが、組み合わせの相手が悪い」と書いたが、嬉しいことに(と言うより驚くべきことに、だな)この二人がそんなことを吹き飛ばして自分のゴルフをやり通し、二人の優勝争いにまでしてくれた。
おかげで、とうとうずっと目が離せずに優勝が決まるまでしっかり見てしまった。

凄かったのはやはり、優勝したF・モリナリ。
俺の好きな選手だし、ここ最近の調子の良さで本当は優勝候補に挙げたかったのだが、なんと不運にも最終日の相手が超復活を遂げたT・ウッズ
「これは最悪の条件だ」「モリナリは運が悪いなあ」と俺は思った。
その理由は、「タイガーと回ると自分のゴルフが出来なくなる」から。
タイガー自身が回りにくい相手(かって全盛期には、あの大袈裟なガッツポーズと「タイガーの10秒ルール」とかで感情のままに当たり散らす態度が相手を萎縮させていた)である事と、もっと悪いのはその周りの追っかけマスコミと応援団の暴虐無尽な振る舞いが同じ組の選手へのひどい妨害行為となる事はずっと言われていた事だった。
以前欧州では無敵と言われていたコリン・モンゴメリーが、マスターズでタイガーと回った時にそうしたファンとの間でゴルフそっちのけの喧嘩となってしまったことは有名な話...もちろんスコアはボロボロになって敗れ去った。

今回は特に、久しぶりの復活戦でおまけにメジャーで調子が良くて優勝争いしているという、マスコミにとってタイガーは最高の目玉...当然彼等は同じ組の地味で目立たないモリナリなんぞ全く眼中になく、タイガーが打ち終わればモリナリのショットなんか待たずに一斉に動き出す、という実に自分のゴルフをやりにくい状態。
おまけにこの組についている、コースで一番多いギャラリー達の目当ても9割はタイガーの応援で、タイガーが終われば静止の声そっちのけでゾロゾロ動き出す。
それに最近特に酷いのが、タイガー応援団らしき男達のショットと同時の大きな掛け声...500ヤードのティーショットで「インザホール!」も無いだろが!

それとスピースと回ったシャウフェレ...彼もスピースのマイペースの超遅いプレーと、2年連続優勝の記録を報道したいマスコミやギャラリーに苦労しただろう。
彼らにとっては、シャウフェレなんてスピースのおまけみたいな存在にしか見えてなかったはずだ。

それなのにこの二人は「主役」を食いながら耐えた。
特にモリナリはこの日ノーボギーのゴルフ...バーディーをとって首位に躍り出たタイガーの周りの大騒ぎをよそに、ただパーを重ねて行く。
表情を変えず淡々とプレーするその姿は、俺の目には侍の姿が重なった。
「イタリア人だよな?」なんて失礼な呟きが出るほど、静かにクールにプレーし続ける格好良さ。

勝負は14番パー5と18番...ここで見事にバーディーを取り、後続組を待つことになった。

後続組で生き残ったのはシャウフェレ一人。
スーパーショットを打つわけでもなく、ただ耐えてパーを拾いまくる。
しかし、彼も17番でボギーを打って力尽きた。

二人とも、最近になって飛距離を伸ばしているとは言うが、決してD・ジョンソンやタイガーほどのロングヒッターではなく、共通して「すごい」と思わせる見せ技を持っているわけではない。
普通に地味で強いと思わせるゴルファーだが、プレーに派手さは全く無く、ショットが大きく乱れずパットが上手い。
トラブルになってもチャンスにつけても二人共表情を変えず、淡々と同じリズムでプレーを続ける。

その強みが、「これはプレーしにくいだろうなあ、可哀想に」なんて思っていた俺の予想を、見事に裏切ってくれた、
いやあ、面白かった。



モリナリがこれで大化けすると、ミケルソンが汚したゴルフツアーもきっと面白くなる。