ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

47回目

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数えてみると、47回目みたいだ。

人付き合いが悪く、何の教育も受けていないのに「俺は絵を描く!」なんて言い出して、「どうせ最悪の場合でも死ぬだけの事」なんてヤケッパチで家を飛び出し、板橋のアパートでバイトしながら自己流の絵を書き出した。

おでん屋の2階の4畳半、モテた経験なんて全く無くて、結婚なんて事は全然考えられもしなかった貧乏暮らしだった。
その年の初めには仲間には、「稼げないし、30になっても結婚なんて出来ねえよ」なんて言っていたのに、その年の秋には結婚することになってしまった...もちろん「できちゃった婚」なんてものでは全く無く、俺は彼女の手さえ握ったことなんてなかったのに。

デザイン学校で絵を描き始めた頃に知り合ったが、彼女の友人という女に「彼女が嫌がっているから近付かないで」なんて酷い事を言われて、会うのをやめた...それで完全に終わったものだと思っていた。
それが、イラストレーターとして仕事を始めた時に京橋でバッタリ会って、また付き合いだした。
牛乳瓶の底のようなメガネを掛けて小太りで、いかにも「田舎のブス姉ちゃん」だったイメージは、メガネをコンタクトに変え少し痩せただけですっかり綺麗な姿になっていた。
それが何度か会ううちに「結婚するか?」なんて軽い気持ちで言ったら...小さな声で「うん」と頷いた。

そのあとは彼女の父親の「気持ちを決めたなら結婚はすぐにしてしまえ」という強い意見で、いきなり怒涛の流れとなって47年前の今日の結婚式となった。
後で知った事だったが、彼女は離婚した前妻の連れ子という事で、「早く家を出て結婚したほうがいい」と父親として思っていたんだそうだ。
(ただ、彼女の義理の母も腹違いの妹も気持ちはまっさらな善人で...特に妹は優しい娘だったから不仲と言う訳ではなかった)

で、それからずっとわがままな俺に付き合ってくれて、もう47年だ。
俺は炊事洗濯掃除を全くやらずに、偉そうに仕事しては酒飲んで好き放題やって来た。
周りの人間達には、奥さんを手伝わないグータラ駄目男で知られている。
実際忙しい割には稼ぎも少なく、ずっと奥さんに楽をさせてあげられない、自覚しているバカヤローだ。

しみじみ思う。
もし、この奥さん以外の女性と結婚していたら、間違いなく百パーセント愛想尽かされ、別れて家を出て行かれ、俺は捨てられて堕ちて行っただろう。

 

...で、きっとその後で、俺はダンボールで震えて眠ることになったはず。

 

本当にありがとね。
俺は気持ち一杯腹一杯、感謝しておりまする。