ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

狂気の科学者・ブライソン・デシャンボー その1

俺は30歳も半ばになって、ゴルフのプレーより仕事で「ゴルフイラスト」を描くことが先でゴルフに関わる様になった。
その仕事の半分以上はレッスンイラストで、自分が体を動かすよりその形を描くことが先だったので、ゴルフスイングの形に「あれ?こうなのか?」「これでいいのか?」なんて疑問を感じることが多くあった。
その一つがこれ。

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これの問題は、「スイング中頭を動かさない」とか「前傾を変えない」とかのレッスンの肝...例えば「ジャック・ニクラスは頭を動かさないようにコーチの髪の毛を掴まれてスイングした」なんて言葉とは裏腹に、俺は「この構えでは頭を上げない限りクラブヘッドが通る馬車はなくて、絶対にダフるんじゃない?」と疑問を感じながら描いていた。
実際に、動画やレッスンプロのスイングを見ると頭は上下にも前後にも動いて、うまく両腕の通るスペースを開けている。
まあ、仕事でそれを描いちゃあおしまいなんだけど(笑)。

そんな疑問がいつまでも無くならず、「なんでみんなこんな複雑なスイング良いと思っているんだ?」と思い続けていた時に出会ったのが、「モー・ノーマンのハンマー打法」だった。

まさにアドレスの時にインパクトと同じスペースを作っている。
これなら頭の上下動もなく、シンプルに上げて下ろせばボールに当たる。
器用な腕周りに余計な動きをさせず、前傾角度通りに普通に振れる。
俺もこのハンマー打法をやり始めた時には、実によく当たって、パーオン率は飛躍的に向上した。
...じゃあ、なぜそれをやり続けなかったか?って事になると、理由はあるのだ。
多くの知り合いがこれを始めてから「ボールがつかまる」「飛距離が出る」「トラブルショットも大丈夫」なんて言っていたのに、やはりある時間が過ぎるとハンマー打法をやめて行った。
その理由は、また後で書くとして...このモー・ノーマンのスイングについては多くの有名プロゴルファー、例えばタイガーウッズ、リー・トレビノ、トム・ワトソンなどが口を揃えて「最高のボールストライカー」と賞賛している。
ここに今までの常識に囚われずに、自らを「ゴルフサイエンチスト」なんぞと呼ばせるブライソン・デシャンボーが注目して研究し、自ら実践して成果を出しつつあるんだから面白い。

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今までは似てはいても、どこか完全にモー・ノーマン打法になりきれていなかったデシャンボーが、20キロの体重増加(トレーニングで筋力を増加させたらしい)と共に完全にモー・ノーマン打法になりきったように見えるのが面白い。
ただ、モー・ノーマンの言っていたハンマー打法と同じかと言うと、細かな部分でデシャンボーなりに変えた部分があるように見える。
それは我々下手くそが一時期はハンマー打法で成果を挙げたのに、やがてやめていく事になった原因を彼なりに修正出来たのではないかと想像する。

我々でも、もしそれを克服出来るなら、デシャンボーのハンマー打法は万年ヘタレゴルファーの悩みを一気に解決する夢の打法になるんじゃないか?...とも思っている。


とは思うが、この男。

ワガママ・短気・傲慢・スロープレーに癇癪持ちに周囲への気遣いゼロという...「マッドサイエンチスト」っていうより「クレージー変態サイエンチスト」って感じのぶっ飛び具合、あまり期待しないほうがいいのかも。

それでもやっぱり...今はこいつのゴルフが一番バカバカしくて面白い。