ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

「驚いたねえ!」の2019年全英女子オープン

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いやあ、見るつもりはなかったんだ。
渋野日向子っていう俺にとっては聞いたこともない女子選手が、全英女子オープン3日目終わってトップだなんていうニュースは見てたけど。

まあ、いつものパターン...新人選手が「たまたま」調子が良くて(おまけにラッキーが重なって)大きな試合の2日目や3日目に首位に立っても、最終日にはプレッシャーでミスを重ねてスコアを崩し、結局10位以下に沈んでしまう流れ...
そんな風景を見るのが辛いので、昨夜もちょっと晩酌中にゴルフチャンネルを見て寝るつもりだった。

テレビをつけると、渋野は3番でパーオンしてなんと4パットをしてダボだったんだと...
「ああ、いつもとおんなじだ」
「あとはボロボロになって崩れていくだけか」

とチャンネルを変えるつもりでリモコンを持った途端、なんともいい顔で笑う渋野の顔が飛び込んで来た。
その笑顔は緊張で引き攣れたような「無理やり作り笑い」ではなくて、ただの「自然な可愛い」笑い顔!
「あれぇ?いつもの選手達と違うぞ」...と見ているうちに、2バーディーで盛り返す。
9番でまたボギーで「やっぱり」と思ったが、10番バーディーでまた戻す。
それでもこの日パープレー、先を行く人たちはこの日4アンダー5アンダーとスコアを伸ばしている。

この渋野日向子という選手、笑わない顔は普通の気が強い現代のオネエチャンという顔だが、笑った途端に実に可愛い天使の顔になる。
以前コーチか誰かに「君は笑った顔のほうがいい」と言われたそうだが、実にまさしくその通り。
笑ってこれだけ綺麗になる事は、なんという幸運だ。
カメラを向けられた時にこういう顔で笑えることは、彼女が誰をもファンにする「天性の才能」の持ち主であると、人生で一通り苦労した経験を持つジジーは断言する。

最終18番、フェアウェイに運んだティーショットも見事だったが、残り7〜8メートルの易しくはないパットを驚くくらい強く打って土手にぶち当てて入れたのは、彼女が「選ばれた」存在であること明らかにした。
歴史に残るゴルファーはこういうパットを入れるのだ。
いつもこうした場面で思うのは、「普通の(ただ強いくらいの)ゴルファーはまずこれを入れられない」という事。
パーマー・ニクラス・ワトソン・タイガー達「伝説のプレーヤー」は、「え?これが入るの?」というパットを何度も沈めてきた。
普通の強豪は、入るだろう距離は確実に入れるが「これなあ・・・」というやつは入らない。

解説の岡本綾子は海外18勝しながら、メジャーではとうとうこうしたパットを入れる事が出来なかった。
その岡本は渋野の最後のパットに悲鳴のような声をあげた。
「すごいねえ」の呟きが聞こえた...ような気がした。

渋野日向子...その笑顔が消えない限り、彼女はこれからツアーのトップに居続けるだろう...と思う。