ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2019年マスターズ4日目

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結局オーガスタの女神に選ばれたのは、タイガーだった。

モリナリは物凄いプレーを続けていた。
フィナウもしっかりと離されずについて行っていた。

女神が気持ちを決めたのは12番パー3。
あの短い距離なのに、オーガスタで一番よくドラマを起こさせる場所。
(そうだよな...クリークが効いていて、「風のせい」として女神はなんでも出来るだろう。)
オナーはモリナリ。
なんと65ホール終わってボギーは僅かに二つ!
飛距離も伸びていて、ショット・パット共にタイガーに全く引けを取らないゴルフをしていた。
なのに、それほどのミスとは思えないアイアンショットは、グリーン面には遥かに届かず、横のバンカーの1ヤード右の斜面に...そして、落ちた。
タイガーは安全に、でも普通のショットでグリーン中央より左ヘオン(ピンは右)。
そして、フィナウ...なんとモリナリとほとんど同じ場所に落ちて、クリークへ。
...ここで女神は、タイガーを選んだんだと確信した。

この日のタイガーは、さすがに「苦労した後の復活」というテーマに謙虚になったのだろう。
ミスした後のあの自分勝手な「xxルール」という感情剥き出しの醜い所業は全く無かった。
思わずクラブに力が入っても、すぐに思い直したように表情を緩めた。
そして何より、スーパープレイ成功の時の、あの同伴競技者をギャラリーとともに威嚇するような過剰なガッツポーズも無かった。
僅かに小さく握り拳を見せるだけ。

これこそ、王者のゴルフだろう。
あの全盛期のオーバーアクションが俺は大嫌いだったが、この日のタイガーなら喜んで復活劇を讃えたい。

競い合う二人が、かって子供の頃にタイガーを見て憧れてゴルフを始め、こうしてタイガーと一緒に優勝争いをすることを夢見ていた「ファン」であった事も、タイガーに有利になっていただろう。
ギャラリーの9割以上がタイガーの応援で、完全に二人にはアウェイの雰囲気であった事もタイガーに有利に働いた事だろう。
だが、昔のようにタイガーの相手に対するヤジのようなものは無く(ギャラリーも一緒に歳をとったからだろう)、タイガーが終わると一斉に動き出したりもあまりせず、ただ歓声の大きさ以外はフェアであったと思う。

タイガーのスイングも、以前のように頭を激しく上下動させて「叩きに行く」ようなスイングは影を潜め、腰にも膝にも負担の少ない力八分のクールなスイングになっていたと思う。

これからのメジャーの試合が、「王者タイガーの打倒」というテーマの「芯」が出来て盛り上がって行きそうなのが、期待できる。
タイガーよ、飛ばし自慢の若手怪物プロたちの前に「倒すべき強く古きヒーロー」として、憎まれっ子よろしく(少なくとも50過ぎまで)不敵に立ち塞がっておくれ。
それでこそ、時代のヒーローだ。