ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

鉄の美しさ・鍛冶屋が作った作ったクラブの美しさ

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結局ゴルフをやる機会が悪天候続きで、ヒッコリークラブで遊ぶ回数が少ないままだ。
でも、これからは雨の時以外は全部ヒッコリークラブで遊ぶつもり。

なぜ今更ヒッコリークラブでゴルフをやりたがるのか、よく聞かれる。
飛ばないし難しいし、壊れやすいし、思い切り打つことはまず出来ない。
使うボールも、私が使うような古い(作られてから10年以上経ってしまったような)糸巻きボールは、すでに糸ゴムが劣化していて、作られた当初のような性能はとても望めない。

おまけに、これはみんなに薦められない理由なんだけど、クラブ自体が作られてからもう100年以上経っていて、安くてなんとか使えるものを見つける事が難しい。
よっぽど運が良くなければ、この遊びをスタートさせることは出来ないのだ(もちろん「金に糸目をつけず」に遊べる人は別)。
俺の場合は非常に運が良くて、オークションで安くて程度の良いものを見つけられたので(ほぼ1本3千円程度)、こうして遊べている。

その前まではパーシモンに黒トップで、柔らかい2ピース・3ピースボールでゴルフを楽しむつもりでいたのだが、一度ヒッコリーを体験してしまうとそれでは中途半端に感じてしまった。

ヒッコリークラブってのは、物凄く不自由なのだ。
何しろ思い切り振れないことも、飛ばない糸巻きボールであることもあって、飛距離が圧倒的に短い。
ティーショットで200yなんてとても行かない(ヒッコリーのウッドはいい状態のものが極端に少なく、強く振ると壊れてしまいそうなものが殆どの所為もある)。
アイアンでは計算できるのは150yまで...それ以上は「ほとんど届かない」か「打ち損ね」になるだけで、「届いたらラッキー」(たとえ届いても古い糸巻きボールは全く止まらないけど)。

ただ、インパクトの感触が良いのだ(あくまで俺の個人的な感想)。
好き嫌いがあるので人によって違うと思うけど、私は古い鉄を鍛冶屋が打ったブサイクで不揃いのクラブが気に入っている。
フェースの溝から背面の文字まで、全部手作業で打ち込んだ様な「手作り感満載」のクラブヘッドが、ブサイクなのに美しい。
作られた当時は、すぐに錆びてしまう純鉄製のヘッドより、錆びないのが売りのステンレス製のヘッドの方がずっと値段が高かったそうだけど、俺が打ってみた感じではボールが当たった感触は比べ物にならないくらい「純鉄製」のヘッドの方が柔らかくて良い。

その古く黒く錆び付いていた純鉄製のクラブヘッドが、使っているうちに砂や泥に削られて輝いてくるところがまた美しい。
俺は「鉄ってこんなに美しいのか!」と、見惚れてしまう。

こんな不自由で飛ばなくて、だが美しいクラブを駆使してホールを攻める...当然パーオンなんてほぼ無理な話だが、それでも拾うパーやまぐれのバーディは今の道具で奪うスコアよりも何倍も気持ちが良い。

集めたクラブは2セット出来る。(もし壊れても、予備はあるってこと)
集めた糸巻きボールはスモールもラージも10ダースずつはある。(俺の生きてる間は十分か?)

さあ、残り少ないラウンドはこれでめいっぱい楽しまなくちゃ。
まずは今度の晴れた日に。