ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

俺は、枯れたつもりは無いよ

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治ったつもりだった不整脈なんかがいきなり出て来ると、さすがに残った俺の人生のホールのことを考えてしまう。
ま、ラスト3ホールにかかっているみたいなのは確かなんだろうけど。

俺の、ヒッコリーでの変態ゴルフ...誤解されているようだけど、決してゴルフに飽きて疲れて、情熱が枯れてしまった結果の「いじけた変態ゴルフ」じゃあ絶対に無いからね。

30半ばで、初めて打ったゴルフボールがあまりに遠くに飛んでいく事に感動してハマったゴルフは、まず飛距離とスコアに熱中したのは当然の事だった。
なぜか「俺はこのゴルフでどこまでも上手くなれる」なんて気がして、実際に「仕事をちゃんとやりながら」2年余りでシングルハンデになった頃はラウンドしてスコアを縮めることが一番の目的だった。
だけど、年齢的にますます仕事は忙しくなり、徹夜の仕事明けでゴルフの試合に出ることが続いて息切れがして来たのが40半ば...妻子を食わせるために我慢するのはゴルフの方なのは当たり前、諦めを感じながらのゴルフになったのが50代。
60代ですっかりグレてしまって情熱は消えつつあった時に、いきなりポッと火がついたのがヒッコリークラブとの出会い。
それまで、博物館や美術館での飾り程度にしか思っていなかった100年前のヒッコリークラブに「実際にボールを打てるものがある」と知ったのは衝撃的だった。
実際にそうしたクラブを借りて古い糸巻きボールを打ってみると、あの30代で初めてゴルフボールを打った時の感動が蘇って来た。

それから、ネットオークションでヒッコリークラブと糸巻きボールを探す日々が始まった。
高額なものには一切手を出さず(出せず)、安いものを狙って入札することを繰り返し続けて五年余り...やっと手に入れた古いヒッコリークラブも、実際の使用に耐えるものは10本のうち3本、4本は全く使えず、残り3本はシャフトやヘッドの予備として保管するくらいの有様だった。
それでも5年の間に使えるものが20本くらい集まり、糸巻きボールも未使用のものが20ダースくらい集まった。
その頃、若くしてゴルフの歴史や用具の修理などを研究する「松村博士」に知り合い、クラブの修理や補強をお願いできるようにもなった。

今はなんとか2〜3セットのクラブを組めるようになり、糸巻きボールでのゴルフにも慣れてきた。
が、何しろ100年も経っているクラブと、未使用とは言え40年以上経ってゴムが腐っている糸巻きボールでのゴルフだから、飛距離は出ないしフルショットも(壊れる可能性が高くて)出来ない。
だから、スコアのためにクラブに無理させるゴルフは出来ず、淡々とスコアを無視して回ることが多くなった。
ただ、俺はこういうゴルフで「枯れた」とは思っていない。
ちゃんとそれなりに良いスコアで回るように努力しているし、いい加減な態度でゴルフを遊んじゃいない。

俺にとってヒッコリーで遊ぶ時には基本ボギーがパーなんだけど、気持ちはこのヒッコリークラブと糸巻きボールでエージシュートまでも狙っている。
まだまだ、一本一本違う硬さや重さや長さのヒッコリークラブそれぞれの特性を自分のものにしちゃいないが、それぞれのクラブの飛距離や球筋をつかんだらハーフ40は普通に切れると感じている。

例えば、この前のロイヤルメドウ...一番難しいと常連の方々が言っていたインの16番パー5と17番パー3。
16番はホワイトティーから537ヤード、フェアウェイをクリークが走り、グリーン前には池がある。
ここは飛距離的にヒッコリーでは苦しいのだが、3wのティーショットをフェアウェイ、5wでのセカンドをクリークギリギリに運び、3打目の180ヤードを5wで乗せて2パットパー。
17番は名物ショートとかでホワイトティーから池越えで166ヤード。
これはミッドアイアンでピン横に乗せることが出来て、バーディー逃しのパー。
この2ホールは真剣にパーを狙って獲ることが出来た。
だから、自分じゃこうした緊張感が9ホール続けば、ハーフ30代は十分出ると思っている。
ただし、ヒッコリークラブは本当にスイートスポットが狭く、そこから数ミリ打点がズレるだけで飛距離も方向もひどく違ってしまう。
この対策は練習しかないんだけれど、基本百年もののヒッコリークラブは練習場のボールを打つだけで壊れてしまう可能性が高いので、無駄なボールは極力打たないようにしている...結局本番以外で慣れようがないのだ。


というわけで、俺はヒッコリーでもいいスコアを出そうとはしている。
決して枯れちゃあいないが、スコアを追いかけて自分のクラブも美學も壊すつもりはない。

...例えば、飛距離が足りないならティーショットだけでも現代クラブを使えば十分戦えるのは分かっているけど、俺の考えじゃ「それはみっともない」「そんなゴルフはせこい」。
 
まあ、面倒な俺だけのこだわりだけど...「いつか、普通にヒッコリークラブでお前らをコテンパンにやっつけてやるからね」が、俺の正直な気持ち。

俺は決して「枯れてない!」、よ。

腹は出たけどね。