ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

散る桜

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春に生まれながら、春が嫌いな人がいる。
冬に生まれて、春に焦がれる人がいる。

例年より遥かに速く咲き始めた桜が、その後の天候不順で驚くほど長く咲き続ける事になった。
満開になる前に、何度も冷たい雨で鍛えられ、強い風に鍛えられ、今年は「あっけなく散る桜」のイメージが「耐え続ける桜花」のイメージに変わったようだ。
今日で、まる二週間以上、まだ散り終わらずに咲き続けている。

二週間前に八分咲きになっていた桜並木を訪ねてみると、地面を花びらで埋め尽くしながらまだ桜は咲き続けていた。
桜祭りの露天商の人たちは次の桜祭りの北の地に移って行き、チラチラと散る桜の花びらに祭りの終わりの寂しさを感じる。

桜は、正月よりも一年の区切り、一年という時間の象徴のような気がする。
以前、病気療養中だった義父が、口癖のように「桜の花をあと何回見られるかなあ...」「来年の桜が見られるかなあ」と言っていたのを思い出す。

自分の記憶に残るゴルフのシーンというと、なぜかベストスコアを出したシーンとか、競技で結果を出したシーンなんかより、桜の花吹雪の中でプレーしたシーンが多い。
そのラウンドは決して良いスコアなんかではなかったと思うんだけど、ショットを打つ時にフェアウェイを桜の花びらが渦を巻いて踊っていた、とか、狙いを付けた方向から自分の方に桜の花びらが前が見えないくらい吹き付けてきたとか...
あるいは、グリーンに向かう空中にいつまでも桜の花びらが浮いて漂っていた、とか、パットを打とうとすると自分の読んだラインを吹き消すように花びらが流れて行く、とか....
あるいは、宙を飛ぶ白いボールのあとを追いすがるように花びら達が流れて行く、とか、ショットを打ち終わった自分の前を違う世界に連れて行くかのように花びらが舞う、とか...

桜の花びらの中を自分のボールまで歩いて行くと、「これから最高のゴルフシーズンが始まる」という気になる。
そんな桜の季節も、もう終わる。

まもなく、桜の花は無いけれど、「花のマスターズ」が始まる。