「クラブヘッドを上下させたり、ボールの上を動かすのは悪いワグルだ!」...ケン・ベンチュリー。
ケン・ベンチュリーはメジャー1勝ながら、引退後にその卓越した理論と技術で世界的なレッスンプロとして名声を得たゴルファー。
この言葉は彼の書いた多くのレッスン書の中の1冊、「アメリカンスイングのメカニズム」の中にある。
「ワグル」という動きには、スイングのきっかけ作りや、これから自分がやろうとするスイングのイメージ作り、筋肉にその動きを覚えさせる役目などがある。
緊張で硬くなった筋肉をほぐしたり、気持ちを集中させる手段としても有効とも言われている。
そして、ワグルが良い影響を与えるのは「これから行おうというスイング」に結びついた動きであることがポイント。
しかし、このワグルには「スイングに悪い影響を与えてしまう悪いワグルがある」とケン・ベンチュリーは言う。
例えば、多いのがクラブヘッドを上下に動かすこと。
酷いのになると、まるで餅つきのように上下にトントン、トントンと動かして地面を叩く。
あるいは腰の高さ、果ては頭より高く上げてから地面を押さえつける。
...こんな動きはスイングには無いと言うのだ。
そんな動きを身体に覚え込ませたって、スイングに悪い影響を与えるだけで絶対にプラスにならない。
トム・ワトソンもそういう動きをするが、ケン・ベンチュリーはそれをはっきりと「悪癖だ」と言い切っている。
確かに、こういう動きは自分の前腕の筋肉を使うことを意識させて、スムーズなスイングをし辛くさせると思う。
手先だけでクラブを動かす動きだ。
それと多いのが、クラブヘッドを浮かせてボールの上でクラブを動かす動き。
クラブヘッドはそこを通る訳ではないのだから、身体に誤った動きを覚えさせることになってしまう。
実際にしない動きをして、筋肉に誤解を与える、と言う訳だ。
身体がダウンで起き上がりやすくなるように思えるし。
ケン・ベンチュリーが勧めるのは、ボールの所まで実際に自分のやりたいスイング軌道にクラブヘッドを動かすこと。
テークバックの始め、ダウンからインパクトの自分の通したい軌道、などを予行演習する。
そうすれば、その経験したイメージ通りにクラブヘッドを動かせばいいのだから役に立つ。
確かに、こんなことを考えてワグルすれば、スイングにプラスになることだろう。
何時まで経ってもワグルを続けてなかなかスイングに入れない人なんて、きっとなぜワグルをしているのか判らなくなっているんだろう。
「1回、インパクト付近の通したい軌道をなぞってからスイングに入る」とか決めておくと、迷いも無くなる気がする。
プロでも悪い動きをする。
そんなことを真似しないで、ケン・ベンチュリーの言葉、思えておいて損は無い。