ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

試合中継

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もう、ヨーロッパもアメリカもゴルフシーズンは始まっている。
ゴルフネットワークゴルフチャンネルを通して、それらの試合が見ようと思えば見られる環境になっている。
日本の試合が始まるのはまだ先だけど、どちらにしてもそれらのテレビ中継を見て「今年のゴルフシーズンが始まる!」というワクワク感は全く無い。

ハワイアンオープンにしたって、南アフリカでの試合にしたって、ちょっとテレビをつけてみるが...すぐに消してしまう。
自分のゴルフは、「暖かくなれば」、「花粉を抑えられれば」、「身体に故障が無ければ」、何時だって始めたい気持ちは満々なのに。

思えば、ゴルフを始めた当初(1985年頃から)は、ゴルフのテレビ中継は内外問わず殆ど見ていたような気がする。
プロのコース攻略や、距離に対する番手、トラブルに対する技術、自然条件に対する対応法...全てが参考になった。
それは、金属ヘッドのウッドと、カーボンシャフト、2ピースや3ピースボールの登場まで続いた。
パーシモンに糸巻きボール、スチールシャフトにマッスルバックアイアンの時代は、プロの番手選びや打ち方が参考になったのだ。
勿論、プロのやる事を自分も出来たらプロにだってなれてしまう訳だが、いくら失敗しても「同じ条件でトライする」事が楽しかった。

あのニクラスだってバレステロスだって、自分と使う番手は1クラブ程度しか違わなかった。
勿論パーシモンでの飛距離は20ヤードくらい違うし、アイアンの番手もフルショットではなかったが。
...でも、参考になった。

ゴルフというものは、絶対に「見る」より「やる」方が面白いゲームだ。
サッカーや野球と違い、自分がやる事が前提になっているスポーツだ。
だから、見ている時に自分のプレーと比べて、「凄い!」とか「上手い!」を身近に感じる事が出来る。

...それが最近は全く無くなった。

テレビを見ていても、ドライバーは300ヤードを超えるのが普通。
ロングホールは600ヤードでも簡単にツーオンし、ミドルホールは460ヤードなんてのがショートアイアンでツーオンだ。
200ヤードを超えるショートホールもミドルアイアンで楽々乗せる。
コース全長は7500ヤード程度で、楽に二桁アンダーが出る。
どういうコースであれ、ショットに大したスリルはなく、結局グリーン上でワンピン以上のパットがどれだけ入るかで勝負が決まる。
もう、飽き飽きだ、こういうゴルフを見るのは。

結局、急速な道具の進化は、我々一般ゴルファーに対しても飛距離やミスに対する許容性を増しはしたが、プロの方がその何倍もの恩恵を受ける事になったのだ。
我々は、やはり「市販のものに自分を合わせる」(たとえ「カスタムフィッティング」とやらを受けたにしても)のが普通なのに、プロは完全に自分に合わせて、自分の最大の力を発揮出来る道具を手にする事が出来る。

その結果(ボールの進化も加わって)、馬鹿馬鹿しい飛距離の飛ばしっこになり、何の参考にもならないアイアンの番手使いとなり、プロの試合は普通の一般ゴルファーとは関係のない安っぽいショーになってしまった。
ゴルフ中継を見る事は、我々にとっては遠い世界の絵空事になり、視聴率は限りなく低くなって行く。

ニクラスがずっと前に鳴らした警鐘を、今こそ我々は再び考えるときじゃないだろうか?
...「進化し過ぎた道具は、ゴルフの魅力をスポイルする」
「飛ぶ事」がゴルフ最大の魅力であるために、彼の考案した「飛ばない」ケイマンボールは大きな流れとはなり得なかった。
しかし、今の状況を見てみれば、ニクラスの言った通りになって来ているんじゃないか?
せめてプロの試合は「最大飛距離300ヤード以内」のボールを使うべきではないのか?

まあ、今は実現するのは無理な話なんだろうけれど。

...ともかく、今のゴルフは見ても全くつまらない。
今年もテレビ中継は、メジャー競技以外は見ないだろうなあ...