ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ハンディキャップ

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ゴルフというのは「ハンディキャップ」というものがある。

これはいつも絶対的な打数の少ない上級者が勝つのではなく、それぞれのハンデに対して努力して(自分なりに)少なく上がったものが勝つ、という実にフェアな考え方に基づいている。
そしてそれは、それぞれのハンデが正しいハンデである、というのが大前提であるのは当然のことだ。

問題は、あらかじめハンデが決まっているクラブ競技などではいいのだけれど、たまにあるコンペなどの自己申告のハンデの場合。

例えば、Xというゴルファーがいたとする。
このX氏は、20年以上前には競技ゴルフをやっていて、7というシングルハンデのゴルファーだった。
しかし、その後体調を崩したり、仕事が上手くいかなくなるなどして、15年くらいゴルフをすることが出来なかった。
5年くらい前から再びゴルフを始めることが出来たが、昔ほど夢中にやる訳でもないので90を切るかどうかのゴルフが続いていた。
そして、その自己申告のコンペ。
「ご自分のハンデはどのくらいか?」と聞かれて「最近は90を切るのがやっとだから、17-8ですかね」と答えた。
以前シングルだったのは、今のスコアを考えると恥ずかしくてとても言えないし、もうそんなスコアでは回れないと考えて、遠慮して言ったつもりだった。
そこでハンデは16と決定し、コンペに参加することになった。

一応、仕事先の関係の大きなコンペだったので、恥ずかしいスコアを出さないように練習はした。
そして当日、いつになく調子が良く、ラッキーがあったり長いパットが入ったりで、久しぶりの80という好スコアを出してしまった。
まあ、70台は無理でも80なら出るかもしれないとは思っていたので、ネット64のぶっちぎり優勝となったのは嬉しかった。
大喜びしていたX氏だが、参加した人の中に20年前のX氏を知る人がいた。

「あの人はシングルハンデだったんじゃないか?」
同伴競技者も
「とてもハンデ16のゴルフには見えなかった」

問題になった。
X氏は聞かれて20年ほど前にシングルハンデであったことを認めた。

結局どうなったかといえば、X氏の優勝は取り消し。
それだけでは済まずに、その会の除名と、仕事先からも信用の出来ない男、嘘つきとして知れ渡ってしまい仕事を続けることが出来なくなってしまった。

本人にしてみれば、「昔のシングルハンデなど、今の実力から言えば恥ずかしくて言えない」ということで、謙遜して申告したつもりだったんだろう。
でも、これはゴルフで一番重い「勝つために虚偽のハンデを申告した最低のゴルファー」ととられたのだ。
「シングルの7です」と言って100回打てば「どこがシングルだよ、100叩きして」と笑われても、こんな風に軽蔑され除名され、仕事をなくすようなことはなかったろう。

JGAハンデは、その点「今の実力を反映している」と言えるので、「今はJGAの16です」と言えば通るのだけれど...もし、偶然自己ベストのようないいスコアを出してしまうと、かってはシングルハンデの時もあった事実があれば問題にされるかもしれない。
実際に、かってシングルハンデで70台を何回も出していた人は、普段90位を叩いていてもちょっと運とかラッキーがあってハマってしまうと以前の経験が蘇って来て、意外と簡単に70台を出してしまうものなのだ(年に1度くらいはそういう日がある)。

自分のハンデを言うのは難しい...でも選ぶなら、(良いスコアを出してしまって)軽蔑されるより、(大叩きして)笑われるハンデを申告した方がいいんじゃないか...なんていい訳をする「大叩き男」でした(笑)。