ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

一筋の光明

 

一週間毎日注射したら三週間休み、というビターザの注射治療も、もう7回目になる。

本来完治を目指すなら「骨髄移植」しか無い病気に、唯一延命効果が認められているビターザ...「完全に治す事は出来ない」という事実に、多少気合の入り方は弱くなっても「これでなんとか復活して、短い間でも再びゴルフで遊びて〜!」の思いは消えやしない。
,,,ただ現実世界で、あまりにもヘモグロビン値が低くなって、ほんの数十メートルも歩かないうちに息が切れて、心臓が止まりそうになる苦しさを味わうと...流石にそんな想いも日々薄れて行く。

ここ最近は血液検査でずっとヘモグロビン値7を下回る数値が出ていたので、毎週輸血をしている。
その輸血でヘモグロビン値が直ぐに上がれば良いんだけど、上がる数値はほんの少しで6から7になることがなかなか出来ない。
自分の感覚でも、ヘモグロビン値が6くらいだと「あ、俺は貧血状態だな」って自覚するほど力が入らない。


...それが半月余り前(約二週間前)の輸血の後だった。
朝起きると、なんだか体が軽い...ちょっと動いても息が切れない。
「あれ? 今日は調子が良いのか?」
普段なら息が切れて苦しくなる距離を歩いても、心臓も呼吸もまだ余裕を感じる...何よりも、一旦苦しくなった呼吸なりが元に戻る手応えを久しぶりに感じる。
動いてちょっと苦しいのが、直ぐに「普通」に戻れる感覚があるのだ。
「そうだった、俺はそうしたタフネスさが自慢だったっけ...」

そして、直後の診察での血液検査で出たヘモグロビン値が8!
なかなか7に入れない状態から一気に8代になった!
以前は8でも「貧血状態だから輸血するか?」なんて言われたていたが、6が続いた後の8レベルは自分ではっきり分かる「調子が良い」状態と感じられる。
何しろ、今まで息が切れて歩き続けられなかった距離を軽くクリヤできる...おまけに歩いた後の回復が早い,,,手・足の筋肉に力が入り筋トレも出来そうな力感がある。

ただ、それは俺にとっては待ちに待った「復活の兆し」の出現なんだけど...診察をしてくれた先生は,,,「でもねえ...何が効いて良くなったんだろう?」と頭をひねるばかり。

そうなんだ,,,この時輸血はした後だったけど、ビターザは注射の合間だったし、特に新しくした薬は無いし、俺自身心を改めて新しく始めたことも無い。


ただ、まだ体調最低の時期よりマシになった感覚は残っているし、「このまま復調すればゴルフだって」の希望も生まれて来た。
問題はこの後も後戻りせずに順調にヘモグロビン値が回復し、体力を取り戻せるか、だ。

...病気になって10キロは痩せ、運動禁止で安静を命じられて筋力は落ちた。
これからゴルフを復活するにも、結構なトレーニングが必要だろう。
それに、やはりカート使用でなければラウンドは無理だし、とりあえず古い金属クラブでなければボールを叩けないだろう(練習も全然してないので)...直ぐに壊れてしまうヒッコリーゴルフは、その後のことだ。

 

もしかしたら、これはほんの一瞬のことかもしれない、俺の病気の間の一筋の光明。

もしかしたら、日没後のコースに射した夕陽の置き土産。

もしかしたら、明日の明後日の、来月の再来月の「ラウンド予約」の夢の卵の話。


どうか、一瞬の夢と消えないで、死ぬまで俺に夢を見させて欲しい。