ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

終わり方

ゴルフ関係の仕事を始めた頃...もう40年以上前のことだが、仕事に必要なこととして自分でも道具を揃えてプレーを始めた。
当時は取材を兼ねてのラウンドが多く、担当の編集者とプロゴルファーが一緒に回るのが基本パターンだった。
そんな取材で一緒になるベテラン編集者や高名なライターの話でよく出てくるのが、「俺はコースで死にたい」という言葉だった。
当時こうした取材で出会う人達は例外なく「ゴルフ熱狂人」で、今から思えば信じられないような「トンデモエピソード」を持った方々だった。
そんな人達が、口々に「最後はコースで倒れて死にたい」と言う。
「だから私は週に3回以上コースに出てます」「体調が悪い時ほどコースに出ます」「ここで倒れると絶対救急車が間に合いませんから」なんて事を言う。
(その中には複数の週刊ゴルフ誌の編集長も著名なゴルフライターの方々もいた)


が、それを全うした人はいなかった。
聞いた話では、みんなちゃんと病院で家族に見送られて天国のコースに向かった...んだとか。

大体、コースで倒れる前に殆どの人は「ゴルフがやれない状態」になって「ゴルフを引退」している。
まず一番多いのは、退職して年金暮らしになってから金銭負担が辛くなって、ゴルフから引退する人...それまでに会社関係のゴルフ中心の人はほぼ全員こうなる。

しかし、自分でコースに入り競技ゴルフに燃えていた人は、それではやめない。
しかし、70を過ぎて行くと身体がついて来なくなる。
腰を痛め、肩を痛め、膝を痛め、肘を痛め...それぞれを対処療法で整体に行ったり整形外科に行ったりして誤魔化しながら、それで治らなければ「スイング改造」として「痛くないスイング」を目指して、真面目に真面目に努力する。
なんでこんなにゴルファーってのは真面目なんだろうというくらい、懸命にひたすら努力して...どうしてもダメなら最後は道具やボールに責任をおっかぶせて、果ては「ルール無視」の禁断の道具にまで手を出して自分の「ベストゴルフ」の夢を見る。
これがゴルフという遊びの一番の魔力なんだと思うけど...これが出来たりしちまうんだ...はるかジジーになって「ベストスコア達成!」なんて奇跡が。

なので、ヨレヨレのジジーになっても夢を見て球打ち散歩に励むんだが...やがて誰でも諦める時が来る。
「もう、こんなもんかな」
「そろそろ終わりにするか...」


...俺もそうなると思っていた。
まだヒッコリーで「本気」出していないし。
気持ちは今のままじゃ「慣らし運転」だけしかやっていない。
俺は身体中あちこち湿布だらけ・包帯だらけ・サポーターだらけにしたって、これからもっと楽しむつもりだったのに。
その自信も、手応えもあったのに。

いきなりの赤信号は、治療法のない病気による重度の貧血と、それを無理すればの心不全
なんとか貧血さえ改善すれば、数ラウンドのゴルフは出来ると思っていたが...もう3回目の治療を終わっても全く良くならない貧血状態。

 

...こんな風に終わるとは全く予想外だったけど。

 

あ〜あ、バイバイゴルフ、なのかな。