ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

AIが仕事を奪う?...イラストレーターの場合

 

...AIがイラストを描く時代。

描いて貰いたい要素を入れた言葉をパソコンに提示すると、後はパソコンソフトが勝手にイラストを描いてくれる...それも、人間(かなり上手い人)が描いていたのでは数日とかかかるイラストが、数分で何枚も出来上がると言われている。
実際に「AI生成」と書かれたイラストを見てみると、メインのキャラも達者なものだが背景なども恐ろしいほど細かく綺麗に描かれている。
それも、自然の背景「海や山や地獄や想像の世界」の他に大都会や町や村や時間を超えた古代や未来の風景なども、実に上手く描かれている。

メインのキャラがどうやって出来るのか説明を読んでも理解しづらいが、ピクシブなどで見てみるとまず初心者のような恐ろしく下手な絵しか描けなかった人が、そのソフトを使い始めて数日間で普通レベルのイラストを描ける(作れる?)様になり、数週間のうちにそれ以前に「神絵師」と言われた作家クラスのものを発表する様になる。
ただし、そういう人がたまにそういうソフトを使わないで自分の作品を描くと、やはり初心者レベルからそう進歩してはいない。
それに、そういうソフトを使いなれた人(あるいは以前から「自分で描いても」上手かった人)が作るものには安定感があるが、元々の描写力が足りない人が作ったAI生成作品は、バランスがおかしかったり、顔がみんな同じだったり、手足が余分にあったりで、特定の部分が「破綻」していることが結構ある。
(ただし、これは指示の仕方が悪いだけかもしれない。)

やはりこういうソフトを使っても、もともと「描ける人」が使った方がより効果が出るという当たり前のことだけど...今使い難いと言われている不具合などは、AIの進化によって意外に早く解決してしまうんじゃないか?
そして間も無く「誰でも描いて欲しいものを言葉で指示すると、あとはコンピューターが勝手にイラストを描いてくれる」時代が来るのではないか?

かっての「写植屋」という職業の盛衰を見て思うことがある。
写植もパソコンが普及し始めた頃には、そのパソコンから出力される「文字」は写植よりずっと精度が悪いものだから、すでにどの町にも「写植屋」という店がたくさんあるような現状を変える事は出来ないとみんな思っていた。
長くあった鉛の活字を並べる製版屋から、結構高額だった写植機械を使う「速くて綺麗」な「写植屋」に代わって、その店は街の一角でずっと続くと思っていた。
が、パソコンのAIが進化し始めると勝負は一瞬で決まった。
全国に多数あった「写植屋さん」は、あっという間に全滅した。


AIの進歩というのを甘く見ちゃいけない。
やがて...いや、ごく近い未来、自分が絵を描けなくても、描いて欲しい要望・要素を言葉でコンピューターに入力すれば、数分で希望通りのイラストが出来てくる時代を覚悟したほうがいいと思う。

ただ、そうして出来たものの著作権はどこにあるんだろう?なんて疑問もあるし、今のところそうして作られたものの顔なり描き癖なりに欠点を感じるものの...簡単に「まるで描いたようにしか見えない」背景画像の描き込みや技法の豊富さは、ただ驚くしかない。


俺は思う、多分絵やイラストだけではなく、人が作るもの全ての「ニセモノ製造」こそがAIの本来の能力なんだろう。
そして、AIがニセモノ作りに飽きた時、きっとAIは人類征服に乗り出すんだろなあ...

まあ、そん時まで生きちゃいないから、俺にはどうでも良い事だ。

 

ああ、これからのイラストレーターは食っていくのが大変だ、ホントに。