ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

イシカワのゴルフ

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バーディー数が多いのに、とんでもない大叩きも多い。
連続バーディーをとっても、すぐに簡単にダボやトリを打つ。
優勝争いには全く関われず、毎試合予選カットばかりが気になるスコア。
実際に予選落ちを繰り返し、アメリカツアーのシード権を5年目で失った。

十代の頃は、才能と将来性に輝いていた。
まだ体は少年の体であったが、怖いもの知らずの思い切りの良さと自由なイメージで、並みいるプロ達をビビらせて高校生で優勝した頃は本当に強かった。

ゴルフと言うのは本当に因果なスポーツで、ある高み迄達したとしてもそこにそのままの実力で居続ける事は絶対に不可能だ。
もっと強く上手くなるか、下手になり弱く脆くなる。
この世界のトップクラスに居続けるものは、常に脱皮し変化し強くなり続けているのだ。

怖いもの知らずで自分の才能と運に自信を持って輝いていた少年は、この数年の経験で怖さを知り疑いを持ち、失敗の記憶が積み重なり、先の見えない迷い道に入り込んでしまった。
残念な事に、成長と共に多少の問題は吹き飛ばすはずのパワーを生む予定だった体は、結局20歳を越えても軽量級のエンジンしか積めないままで、飛距離の成長は無かった。
そこを無理して体も故障した。

成功体験で消去出来なかった失敗の記憶の積み重なりは、もう自分の体のスムーズな動きさえ蝕む様になり、強かった心も耐えられる限界を下げて行く一方だった。

彼の敗北の記録は、心が痛む失意の記録だ。
大きな体とタフな精神を兼ね備えた、かってのライバルの松山が既に5勝を挙げて世界のトップに君臨しているのに比べて、なんと大きな差がついてしまった事か...

だが、冷静に見ればまだ20代半ばと言う年齢と、ボールタッチの天才的なセンスは持っているイシカワ。
飛距離の誘惑に捕われてティーショットで致命的なミスを繰り返す今のゴルフスタイルを、根本から変える事が出来ればまだ可能性は消えていないと思う。
殆ど平均飛距離が300y近くになって来ている今のPGAでも、イシカワより飛ばない名手は結構居る。
ザック・ジョンソンやジム・フューリクなんて選手は、イシカワより飛ばなくてもメジャーを獲っているし安定感が凄い。
「彼等の様に」とは行かなくても、今迄のゴルフスタイルは変えるべき。

バーディーを数多く獲れていると言うのは、ティーショットの飛距離よりもアイアンショットの正確さやパッティングのおかげだろう?

第1ステージでは敗者となったイシカワだけど、これからの第2ステージで違うイシカワとして復活する事を期待したい。
捲土重来を期すのは人生の醍醐味、一度負けた男の復活劇というのは、多く人を熱中させる魅力的なストーリーだ。

イシカワの誰にも負けずに真剣にゴルフに向き合っている姿勢は、ジジーはしっかり認めているぞ。