ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ご意見番

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タイガー・ウッズ以来、試合中に感情を露にするプロゴルファーが増えた。
別に自分が立派なゴルファーって訳じゃないのは自覚しているから、偉そうな事は言えないんだけど、プロで強いヤツが失敗した事をクラブや自分以外の何かの所為にして怒ったりするのを見ているのは不愉快だ。

以前、故杉原プロがタイガーがクラブを叩き付けたり、他のプロがフェアウェイに唾を吐いたりするのを見て、厳しく怒った事がある。
曰く「プロが自分の仕事場を平気で汚したり、契約して自分が世話になっている会社の製品を乱暴に扱うのはプロとしての自覚が足らん!」

別に杉原プロの言う事に全部賛成と言う事は無いが、彼の様にどんなプロに対しても「言うべき事はちゃんと言う」という、言わばプロの世界の「ご意見番」みたいな存在は貴重だと思う。
まあ、プロゴルフの世界で「ご意見番」となるには、自分にもそれなりの実績がなくては誰も耳を傾けてはくれないから、それなりに壁は高いんだけど。

ただ、普通のゴルファーの間でも「ご意見番」の様な存在が最近は少なくなった。
以前はどこのコースにも色々な事を注意して教えてくれる「小煩いご意見番のメンバー」のジイさんが居たものだった。
煙たがられてはいたものの、彼の言う事には一理があって、やがて時間が経つと「ああ、この事だったか」とか「あの時言われておいて良かった」なんて風に理解し感謝する様になる事が多かった。
それはゴルフのマナーやそのクラブの決まりとか言う当たり前の事以外にも、以前記事に書いた「チンポコに触る前にまず手を洗え! それは男の大事なものじゃないのか?」なんてトイレで言ってくれるジイさんとかが...思い返せば粋だった。

世間一般でも、結構いろんな所にご意見番のジイさんて居たものだった。
「面倒くさい」「煙たい」「うるさい」なんて言われていても、どこか一目置かれていて頼りにもされていた。
が、今は「他人にはなるべく干渉しない」が暗黙の基本ルールとなって久しい。
例え目に余る事があっても、言ってトラブルになって自分も気分が悪くなるより、見ない事にして無視した方が自分の平和は保たれるのだから。
言われそうな側も、それを聞く耳を持っておらず、逆に自分に干渉する事を攻撃と見なす様な、狭量な「足りない」奴ばっかりが多くなったみたいだし。

多分ご意見番の頑固ジイさん、みたいな人種はもう死に絶えてしまったんだろう。
世界も、もうそう言う人達を必要としていないのかもしれない。
自分の得になりもしないのに、世間が真っすぐ円滑に回るのを助ける為に首を突っ込むおせっかい...喧嘩したら強そうな人達ではなかったのに。

思い返せば、あのご意見番と言われる頑固ジイさん達、決して大きな体じゃなかったがみんな胸を張ってたなあ。
金も名誉も無くっても、アゴをあげておてんとさんの光を正面から浴びてたっけ。

本来なら俺達世代がご意見番にならなきゃいけないんだろうけれど、困った事に俺達は他人に意見する程の自信も人生観も無くってさ。
赤の他人に御意見するなんざ、身の程知らずの思い上がりとしか思えねえ...だからこそ、昔居た「ご意見番の頑固ジイさん」て「凄かったんだなあ」と、思うんだよね。