ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

たどり着いた究極の双眼鏡(自分にとって) フジノン TS-1440



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「見る」と言う事に拘った自分の趣味の行き着いた所。
自分にとっての究極の双眼鏡は、フジノンのTS-1440だった。
手に入れたTS-1232の、致命的なデザインの欠陥に頭に来ては居たが、その性能はキャノンの方式の防振性能を遥かに越えているのは実感出来た。
ならば、あの馬鹿げたデザインの欠陥双眼鏡よりも、バッテリーは底面に納めてつまらない故障の原因を無くし、防振性能も光学性能もずっといいと言う評判のTSー1440を手に入れる事にした。

しかし、この双眼鏡は値段も高くオクにいい状態のものが出る事は少なかった。
そこで、それ迄集めていたニコン、ツアイス、ライカ、スワロフスキーなどの名器と言われる双眼鏡を片っ端からオクに出品して資金を作り、いい状態の(新品同様の)TS-1440を手に入れる事が出来た。

この双眼鏡を作っているフジノンは、防振ではない双眼鏡でも光学性能の評判の良いモノを作っているメーカーだ。
かってはフジノン「メイボー」と言う名器を生み、今でもFMTーSXのシリーズや、海上保安庁護衛艦でハードに使われる双眼鏡をニコンと共に多く作っているメーカー。
今のニコンの防振双眼鏡も、このフジノンの双眼鏡のOEMだ。

このTS-1440で使われている防振システムの「ジンバル機構」と言うのは、簡単に言うとあの「地球ゴマ」の原理をあの小さな鏡体の中に作り上げていると言う事で、恐ろしく複雑で精緻なシステムなのだ(自分ではよく判っていない)。
それは、このシステムの双眼鏡の作られた理由と言うのが、ヘリや他の航空機から海上あるいは地上の目標や人物などを的確に探し確認する為に、激しい振動を抑えて見えるようにする必要があったからだと聞いている。
元々は軍用の技術だったらしく、本物の軍用の防振双眼鏡は値段が一桁違うとも聞くが、私は実際に見た事が無いので判らない。


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キャノンの防振双眼鏡と比べてみると、その防振性能の効きは圧倒的だ。
ただ、この効きが強い為に双眼鏡を覗いたまま見る場所を変えると、防振機構が限界迄視界を動かす事を嫌がり、限界を超えると今度は次の視界に入った場所を全力で揺れ止めをしようとする。
なので視界は大揺れの波の上に居るように感じて、所謂「舟酔い」に似た感覚を経験する事になる。
それで、この手の双眼鏡は「鳥見」や「風景見」には向かないと評されたりするが、要するに視界を変える時には防振スイッチを切って、目標を捕まえたらまた防振スイッチを入れれば良いだけの話。

また、「光学性能が今ひとつ」とも言われたりするけど、防振性能の無い「世界の名器」と言われる双眼鏡が、確かに「明るく」「解像度が高く」「色合いがよく」素晴らしい見え味をしているのは事実。
しかし、そういう双眼鏡が実力を発揮出来るのはその双眼鏡を三脚や一脚で固定したり、腕や手を柱や木や壁などに当てて「揺れ」を抑える事が出来たら、の話。
手持ちで持っている限り、そうした双眼鏡で「凄い!よく見える!」と感じるのは、錯覚に過ぎない。
手持ちで、一番安いキャノンの8X25防振双眼鏡を使っている人と、8倍の名器達を使っている人と「見えたもの」を語り合うとよく判る。
名器達は「良い色合い」「凄い切れ味」「産毛迄見える」とか言っても、具体的に「あの頭の羽根の後ろの黄色い色と黒い筋が目の下に..」なんて話を防振双眼鏡を見ている人が言うと、「え?」と驚いてそれを確認しなくてはならなくなる。
(これは俺の暴論だけど)防振双眼鏡は「見えて」いるが、名器達は「見えた様な気がしている」だけなのだ。

私は自分の手持ちの双眼鏡で見比べて、それを確認したあと、集めた50代以上の双眼鏡はほとんどみんな手放してしまった。

そして今のエース双眼鏡はこれ。
例え重くてもかさばっても、「見たいもの」がある時にはどこへでもこれを持って行く。