ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

滅び行くコースの印象(58GC・旧サイプレスCC)

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以前から興味はあったが、ちょっと遠いのと設計が加藤俊介と言う事で後回しにしていた58(ファイブエイト)ゴルフクラブ
少し前に12月一杯で閉鎖すると言う情報を耳にして、最優先でラウンドする事に決めた。
ちょうど10日にオープンコンペがあると言うので、天気予報で「冷え込むが晴れる」と言う事をチェックして急いでエントリー。

いつもの様に喜連川道の駅で前夜泊(温泉付き)をして、早朝コースへ。
この夜は冷え込んで、朝の車も田畑の風景も霜で真っ白...まさに「冬が来た」と感じる。

58ゴルフクラブは旧名をサイプレスカントリークラブといい、バブルの頃に立ち上がり縁故会員1500万から募集を始めた(元)高級コースだった。
サイプレスと言う名前から、アメリカのサイプレスポイントと言う超名門コースを思い浮かべるように、(経営母体はやがて倒産するうさんくささがあったとは言え)この地の名門コースを目指して造られた...はずだった。
立派な募集案内や宣伝広告が、ダイジェストを始めとするゴルフ誌に掲載されていたのを覚えている。
もちろん自分にはとても手が出る金額ではなかったので、指をくわえて見ているだけだったけど。
当時はそんな宣伝文句通りに、こういうコースに入会出来ればきっと豊かなクラブライフが遅れるだろうと疑いもせずに皆信じていた。
...それが1999年に倒産し、丸山茂樹の父親が経営するマルエンタープライズが買い取り、丸山茂樹のホームコースとなり、2000年に丸山がUSオープンで出した58のスコアにちなんで58ゴルフクラブと名付けれられた。

一般の評判は「狭い」「難しい」「遠い」「プレーフィーが安くない」などの声がある一方、「練習設備が充実」「芝の上から練習出来る」「コースが木が多くて奇麗」などの声も聞いていた。

コースに着くと、結構沢山のゴルファーで混雑してる。
カートの近所にいた係員に「結構お客さん多いんだね?」なんて聞くと、ちょっと苦笑いしながら「あの12月でクローズって発表されたあとから急に多くなったんですよ」なんて...

練習場は芝から打てて距離もあり、またアプローチグリーンも本グリーンと同じに手入れされていて速くて、確かに練習だけで数時間遊べそうな程練習環境はいい...ただし、この日はグリーンも練習場の芝も全面霜がびっしり、おまけにグリーンはカンカンに凍っていて練習にならなかった。
練習場の芝も凍っていて、ちょっとでもダフると手が痛い(笑)。

コースは、面白かった。
決して広いとは言えないフェアウェイだけど、ティーショットで右や左に狙い打ち出来れば攻略そのものを楽しめ、それが失敗したにしてもOBラインはずっと林の奥や山の中で、曲ってトラブルになったとしてもそこからちゃんとリカバリーするチャンスが残されている...最近のチンケなコースに多いインチキ「黄杭」や、ホールに沿って垣根のように続く「白杭」なんてのは全く目にしなかった。
(この「黄杭」の多いコースなんてのは、それだけで「ダメコース」と自分は断定する。)
レイアウトも加藤俊介の設計にしては、嫌いな感じがしない。
グリーンも相当荒れては来ているけど、微妙な傾斜が判り難く奇麗な状態だったら実に楽しめそうだ。
18ホール色々な事が出来て、期待以上に楽しめた。

...ただ、もう既に多くのコース内の木々が切られているようだ。
スタートホールの奥の山の中では、ずっとエンジンカッターの音がしていたし、ラウンド中驚く程の数の切り株を目にした。
きっと以前はもっと木の多い緑豊かなコースだったんだろう...緑濃い季節には本当に森林の中のような散歩が楽しめたんだろう。
よく見てみると、フェアウェイに影を落としそうな木から切られている。
もう既にメガソーラーを取り付けるのに障害になりそうな「太陽光を遮るもの」は排除されつつあるようだ。
やがてはホールの側の木は殆ど全て切り倒され、無機質なソーラーパネルで一面埋め尽くされるんだろう...実に美しく無い風景が頭に浮かぶ。
もう既にこのコースは死にかけているんだ、と言う雰囲気があちこちから漂って来る。

...真壁ゴルフ場と言う林間の9ホールのコースがゴルフ帰りに通った道にあったが、ここが閉鎖されて豊かだった林の木々は「一本残らず!」切り倒され、あとにはギラギラと光るソーラーパネルが一面に並べられて実に醜い風景に変わってしまった。

58ゴルフクラブも、あのように徹底的に木は切られてしまうのだろう...環境に優しいとか、エコだとか自然保護だとか謳われていながらのこの「環境破壊」、おかしくないか?
ゴルフ場を作る時には「緑地面積」の割合が法律で決まっているのに、メガソーラーなら全面緑を無くしてもいいのか?
なんか、おかしくね?

それにゴルフ場と外の境目にはせいぜいイノシシよけの電線が張られているだけだが、メガソーラーなどのパネル設置場所にはその境界には殆ど有刺鉄線が張られている...確かに「今の所は」現金を生み出す施設なんだろうけど、その仰々しさに凄く違和感を感じる。

原子力に問題があるの重々承知だが、ソーラーパネルに埋め尽くされたあのメガソーラーの風景、なんか「違う」という気がするのはオレだけか?
あのメガソーラーのある風景、ギラギラ光って「ちっとも美しくない」と思うのはオレだけか?



(その後、一応3月までは営業する事になったと聞いた...ただ情報ではレストランも風呂も使えず、徹底的なセルフでの営業になるんだとか...)