ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2015年全英オープン1日目

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The Openが始まった。
コースはゴルフの原点とも言える、セント・アンドリュース オールドコース。
見て違和感を持つのが、青々としたフェアウェイとグリーン、それにラフ....例年ならコースの風景はまるで秋を思わせる枯れた芝の色と、枯れ色で風になびくフェスキューの風景。
バックに広がる荒涼とした寒そうな海と、観客達が真冬の様に重ね着して寒そうに見ている姿は変わらないのに、コースは夏の緑に包まれている。
先日のインチキリンクス風全米オープンのコースとまるで逆の状態に、「これはなんかのジョークか、皮肉なのか?」なんて事さえ頭に浮かぶ。
雨が多かったと言う気候の為か、フェアウェイでボールはそれほど転がらず、グリーン上のボールはバックスピンでクルクル戻る。
いつもの用に硬いグリーンで大きく弾んでナイスショットがピンから大きく離れてしまったり、何処までもティーショットが転がって入れてはいけないバンカーに入ったりと言う、「ゴルフの神の領分」とも言える運不運が見られない...となれば、現在の実力者達が順調にスコアを伸ばして行くのは当たり前。
と言うことで1日目の上位には、名の知れた実力者達が並んだ....正確な飛距離で他を圧倒するD・ジョンソン、安定のJ・スピース、J・デイ、実績のあるZ・ジョンソンやミケルソン・ガルシアなんかも当たり前の位置にいる。

そんな中で、タイガーの「上手く行かない姿」が印象的だ...以前この全英オープンで、殆どドライバーを使わずに攻めて圧勝した時と同じ攻め方...それが今回はことごとく上手く行かずにスコアを落として行く。
ゴルフの実力と言うのは、一度は極めた場所にいつまでも居られる事は無いと言う事を改めて教えてくれる...技術はどんどん進化している自覚があったとしても、身体は老いて変わって行って反射神経や筋肉の柔らかさや、それらをバランスさせる感覚は劣化して行く...同じ事を上手くやっているつもりでも、老いたゴルファーは必ず自分の肉体に裏切られるのだ。

この大会で全英オープンを引退すると言う、T・ワトソンとN・ファルドのプレーにもそれを感じる。
かって新帝王と呼ばれたT・ワトソンにピンを挿すショットを打ち続ける力強さは無くなり、嫌われる程強くその実績により「サー」の称号を与えられたファルドは1メートルのパットを外しまくる。
彼等はこのセント・アンドリュースのオールドコースを最後の引退の花道として選び、「老兵」として去って行く。

まだ立ち去りはしない老兵の中に、タイガー以前の怪物J・デイリーの姿があった...スイングは変わらず、繊細なタッチも残っている...しかし、酒とギャンブルと女で壊してしまったその身体に4日間戦い続ける強さが残っているだろうか。
そして、あの「カーヌスティーの悲劇」で思わぬ勝利を手にしたP・ローリーが上位に来ている。
悲劇の主ジャン・バンデベルデは、数年前まで予選から挑戦し続けていたが今年の本戦出場者に彼の名前は無い...フランスからは勢いのある若手が何人も出場しているが...彼にあの悲劇の口惜しさを晴らさせてやりたかったなあ。

気温は低く風は吹いているが、バックスピンがかかり過ぎる程柔らかいグリーン。
晴れた天気が続けばグリーンも速く硬くなるだろうけど、今のままではどんなスコアになるのか想像ができない。

あと3日、寝不足が続くなあ...