ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

うまくいく事を前提に立てたゲームプランなんか役に立たない

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「うまくいく事を前提に立てたゲームプランなんか役に立たない」...青木功

青木功は、世界で通算84勝。
記憶に残るのは1978年の「世界マッチプレー優勝」と、1983年のハワイアンオープン優勝。
1980年のバルタスロールでの全米オープンで、ニクラスとの4日間の死闘の末の準優勝も有名。
ショットの大技よりも、むしろ寄せとパットなどの小技の名手として知られている。

...確かに、競技を少しでもやっていたゴルファーには身に覚えがあるだろう。
コンペや競技の前日、コースレイアウトなんかを見ながら、コースを攻めて行く自分を夢想する。
イメージトレーニングと称して、ティーグランドから攻めるルートを考える。

スタートホールは、無理せずにここにティーショット...セカンドも安全にグリーンセンター狙い...ここから2パット、うまくいけばバーディーも。
このパー3は、7番で打てば楽に乗る...どうしたって、2パットで収まる。
このパー5は、右がOBだから左に打って行けば大丈夫、セカンドは100ヤード残して、3打目はピッチングでピンそばに打てる、半分はバーディーがとれる。

...これなら、大丈夫。
明日はベストスコアだって、出せる!

...なわけがないだろう。
「無理せずにティーショット」でちゃんと打てるなら、何時だってティーショットはフェアウェイキープしてるって!
「セカンドは安全にグリーンセンターに」って、グリーンの端にでも乗せる腕があったら、とっくにシングルになってら。
「パー3は楽に乗る」なら、なんでパー3で大叩きするんだよ...2パットで収まった事だって、何回あるんだよ。
「パー5は右がダメだから左へ」打てるんならゴルフってのは易しいよ...打ちたい方向と逆にボールが行くから悩んでるんじゃない!
「残り100ヤード残して」ちゃんとグリーンに乗せられるなら、大したもんだ。
100ヤード迄2打で来て、そこから4打も5打もかかるのがあんたのゴルフじゃない?

そんなイメージトレーニング、百害あって一利無し!
いくら良いイメージを必死に作り上げたって、その一打目から「こんなはずじゃなかった!」の繰り返しになる事確実。
そんなイメージはただの願望。

これは練習ラウンドだって同じ事。
練習ラウンドで良いスコアを必死で出して満足している人多いけど、そんなスコアは本番とは全く関係ない。
練習ラウンドでいくつバーディーとったって、本番で「こんなはずじゃあ...」となる原因を作っているみたいなもの。

青木功は言う。
「練習場でも起きないようなミスが起きるのがコース上だ」
それを前提にプランを組み立てなければ、実際のラウンドには役に立たない。

ミスした場合を前提に考えて、それに対して対策を考える事。
それからゲームプランが成立する。
例えば練習ラウンドでは、狙えても絶対にパーオンさせない。
全てグリーンを外して、全てのパーを拾いまくる。
バンカーが効いている時はバンカーに入れ、外してはいけない方に外してみる。
そこから寄せる事が出来れば、それが自信になる。

元々は(若い頃は)飛ばしで名を売った青木が、強くなるに連れて「寄せとパットの名手」と言われるようになったのは、こういう考えに基づいて徹底的にその練習やイメージを作り上げていったからではないだろうか。

我々は、つい自分の出来る事を忘れて甘い夢に浸りがちになる。
しかし現実のラウンドでは、あてが外れて失望と絶望を繰り返し、自己嫌悪と自己否定と自己憐憫を繰り返す。

「上手くいったのは、たまたまで偶然でラッキーで間違いだった」
「ミスしたのが、当然で普通で当たり前で正解だった」
と考えて、ゲームプラン考えた方が良さそうだ。