退院して来た。
柚は大人しくて可愛いと、獣医がいつも言ってくれるそうだ。
ケージの中でも、騒ぎもせずに隅の方でじっとうずくまっていた、と。
朝から気になってしょうがなかった娘が、迎えに行って連れて来た。
帰って来た柚は、元気がなく、食欲もない。
包帯代わりのガーゼがまるで前掛けのようで可愛いのだが、窮屈そうなそれを嫌がりもせず大人しくしているのは、受けたショックの大きさを表しているようだ。
信じていた人間に裏切られた気分だろうか...
何となく、こちらを見る眼差しに失意の色を感じる。
あまりこちらを向かず、背中を向けている時間が長い。
しばらくは、こんな調子かもしれない。
抜糸は来週。