ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

自給自足?

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オープンコンペに参加すると、本当にいろいろなゴルファーに会える。
そのほとんどは、限られた時間と収入を涙ぐましい程にやりくりして、好きなゴルフを楽しもうとしている素晴らしいゴルファー達なんだけど...

たまには、「なんでこの人はゴルフやっているんだろう?」なんていう、酷いゴルファーも居る。
そんなゴルファーは、多分誰からも相手にされなくなって、最後の手段としてオープンコンペに参加しているんだと思う...運悪く一緒の組になったゴルファーにとっては、堪ったもんじゃないんだが。

しかし、時には「???、なに、この人?」なんていう人に会ったりするから...ゴルフって奴は面白い。
この前一緒になった人も、そういう「変」な人だった。
年は60代半ばから70代。
使っている道具は、一つか二つ前のクラブで別に変わってはいない。
服装も当たり前だし、スイングは自己流で固めたスイングだが、特別酷いミスをする訳でもない。

ただ、全部のショットがすくい打ちで、そのままだと飛ばないし上がりすぎるので、トップ気味に打つことを長くやり続けて来たんだろう。
ドライバーもアイアンも低い球でスライス、大きく曲がる球では無く、安全だが飛ばない。
プレーぶりは、やはりベテランらしく遅くもなく淡々と回る。

しかし、驚いたのが3ホール目。
セカンドを左足下がりから打ったが、すくい打ちのために本物のトップボールとなってフェアウェイ右のラフに。
確かにそこら辺に飛んだのは見えたのだが、他の3人も加わって探したがボールが見つからない。
それほど厳しいルールのコンペでもないので、「その辺にドロップして、前進4打で打った方がいいですよ」とほかの人が言うと、「私、ボールが無いのでこのホールギブアップして、3倍打つけます」。

「あ、ボール、バッグからとってあげますよ。」
「いいえ、キャディバッグの中、ボール無いんです。」
「え?」
「ボール一個しかないんで」

え?
ゴルフするのに、ボール一個しか持って来ないの?
他の3人は、顔を合わせて...

3人がアプローチとパットする間、その人は反対側にある池の周りのラフに降りて行った。
パットを打っている間、「ガサゴソ」「バキバキ」「ドシャビチャ」といろんな音がする。
パットを打ち終わってピンを立てていると、その人はズボンと両手と靴を泥だらけにしながら、泥まみれのボールを2個持って来た。

次のホールから、またその前と同じようなプレーを続け、午前のハーフを終わった。
昼食の時に、「いつもボール一個しか持って来ないんですか?」と訊かれても、「いや・・まあ・・」と言葉を濁すだけ。

午後のハーフ、やはり4ホール目で池に入れて、彼のボールは無くなった。
その池のボールはみんな岸から離れたところに沈んでいて、回収は出来そうになかった。
また、「3倍スコアでいいです」とギブアップした彼は、周りを見渡してボールを探そうとするが、あいにくボールが落ちていそうな場所はなかった。
たまりかねてというか、しょうがないというか、他の3人が「これ使ったボールですが」とか「これは私は使いませんので」とか「どうぞ」とか言って、彼にボールをあげることに。

その後はボールをなくすことも無く、むしろロストボールを更に拾って増やしたりしながら、彼は18ホールを回り終えた。

何の仕事をしているとか、あまり個人的なことは話さなかったが...先週もオープンコンペに出たし、来週もまた、どこかのオープンコンペに出るそうだ。

まあ、次はボールが5つくらいに増えたことだし、ギブアップしたり同伴競技者から分けてもらったりはしなくて済みそうだけど...

ねえ、不思議なお方、長そうなゴルフ歴なのに、いつもこうしてボールは自給自足してやって来たのかい?
...毎週ゴルフやってるなら、せめてロストボールくらい買って来た方が良いと思うんだけど。