ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ミスショットは、すべて速すぎる事に起因する

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「ミスショットは、全て速すぎる事に起因する」...ホートン・スミス。

ホートン・スミスは、1920年代から30年代に活躍したアメリカのプロゴルファー。
ツアー37勝。(第1回のマスターズトーナメント優勝者で、第3回にも優勝している。)
1952年から54年には、PGAの会長も務めている。

この言葉。
昔から「急ぐな」とか「慌てるな」とか、スイングに関しての名言には、「ゆっくり」した方がいいと言う意味の言葉が多い。
かと思うと、逆に「クラブがトップに達する前に、既にダウンスイングは始まっている」(ベン・ホーガン)なんて言葉みたいに、スイングを慌てさせるような言葉も多い。
「イチ」「ニ」の「サン」、のリズムでは遅すぎて、身体に力が入り過ぎてしまう、「イーチ」「ニ」のリズムがいい、なんていうのは現代のレッスンプロは普通に言う。

どっちなんだろう?

この「速すぎる」と言うのは「どこが?」と言うのが問題。
普通は「飛ばそう」と言う気持ちが、全ての「悪い速さ」を生む。
飛ばしたい・・・クラブを速く振りたい・・・思い切り強く力を入れれば速くなる・・・ともかく、何でもかんでも、出来るだけ強く、速く!
と。

ここで我々の大きな勘違いが、力を入れれば、気持ちを込めれば、気合いを入れれば、クラブを速く振れる...という事。
ゴルフというものの面白さ、深さ、複雑さの魅力の根源がここにある。
ゴルフにおいては、人間が本能的に考える動きや、方法や、気持ちは殆どが間違いだという事。
正解のほとんどは、その正反対のところにある。

最も大事な事は、「クラブヘッドでボールをどう打つか」なのに、腕力、脚力、その他力を入れさえすれば遠くへ飛ばせる、とゴルファーは錯覚させられる。
いくら腕に力を入れ、全身に力を入れても、クラブヘッドのスピードは速くならない。
重い棒なら力を入れれば速く振れるが、軽くて長いゴルフクラブで余計な力を入れるのは、ブレーキをかけながらアクセルを踏むようなもの。

むしろ、多くの格言のように「ゆっくり」をイメージした方がクラブヘッドはスピードが上がって「走る」。
ホートン・スミスが「速すぎる」と言っているのは、間違いだらけの身体の動きなのだ。
決してヘッドが速すぎる訳じゃあ無い。
身体はゆっくり、ヘッドは速く、がゴルフの正しい動き。

気持ちが焦って、飛ばしたい気持ちで一杯になっている時程、「ゆっくり」を心がける。
身体に無駄な力を入らず、ゆっくりと落ち着いて動いたと感じる時に、ヘッドが「ビュン!」と走れば、きっとボールは驚く程飛んで行ってくれる。
多分、そう動けた時にはミスショットの数は激減していると思う。

ただし、ゴルフというゲームは、どんな名人だってミスが出て当たり前のゲーム。
取り返しのつかない大ミス以外は、「ミスもゴルフのうち」。
リカバリー出来るミスならば、ゴルフの楽しみが増えたと思って神経質にならないように、ね。