ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

クラブヘッドは、低く、遠くに振れ。

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「クラブヘッドは、低く、遠くに振れ。」...ゲーリー・プレーヤー。

ゲーリー・プレーヤーは身長170センチに満たない体躯ながら、身長180センチを超す時代のヒーロー、アーノルド・パーマージャック・ニクラスと互角の戦いを繰り広げ、時代を背負う3巨人の一人となった。
メジャー9勝(マスターズ3勝、全米オープン1勝、全英オープン3勝、全米プロ2勝)で、ジャック・ニクラスより早くキャリアグランドスラムを成し遂げた。
PGM24勝、世界で通算優勝163回を誇る。
またその体格のハンデの為か、早くから筋力・持久力のトレーニングを欠かさなかった元祖「アスリートゴルファー」でもある。


さて、この言葉。
プレーヤーが言ったという事が面白い。
パーマー、ニクラスに比べると身長が10センチ以上低かったプレーヤー。
普通の人の考え方だったら、その体格差に対抗する様な飛距離を得る為には、クラブヘッドを出来るだけ速く下から上にカチ上げる様に振ろうとするだろう。
そこを敢えて「低く」と言っている所に、スイングの真実があるはず。
ゴルフなんてものをやった事がない人に地面においてあるボールを打たせると、ほぼ例外なくクラブでボールをすくいあげる様に打とうとする。
下から入れたヘッドを、急角度で上に振り上げてボールを上げようとする。
...結果は、ゴルフを始めた頃に誰でもが経験するダフリ・トップの連続でボールなんか上がりやしない。
もちろん空振りだって普通にするだろう。
ゴルフクラブのヘッドというものが「打ち込んだ方が」ボールが上がる様に出来ているという事を理解するのには時間がかかる。
しかし、練習を続けラウンドを重ねると、やがて誰もがアイアンは上から打てば何とかなると理解するはず..だった。
ところが、これが最近の新型クラブ、特にアイアンでは怪しくなって来ている。
クラブ作りの新技術と新素材と新理論は、ちゃんとスイングしなくたってボールが十分上がる様な方向にどんどん進んでいる。
「上から下に」ではなく、「さらうように」でも「すくいあげ」でも、フェースに当たればボールは上がる。
アイアンでさえそういう方向に行っているから、ウッドや新型ユーティリティークラブなんてのはどんな軌道でスイングしたって、フェースに当たりさえすればとりあえず飛んで行く様に出来ている。
飛距離だってそういうスイングでも飛ぶ様に造ってあるから、とりあえずフェースにボールが当たる様なスイングが出来れば普通にラウンド出来る様になる。

結果、クラブヘッドをポンと振り上げさえすればボールは飛ぶから、クラブヘッドをなるべく自分の身体の近くを通す為に肘を引きながら(その方が不安が少ない)殆ど手だけで小さく振るか、そっとボールの後ろからスピードの遅いヘッドをぶつけて(とりあえずボールに当てやすい)打ち上げるだけのドアースイングになってしまう人が多くなった。

このスイングで、例えばパーシモンヘッドのドライバーやマッスルバックのアイアンでボールを打ってみれば、「どのくらいボールがちゃんと飛ばないか」が判るんだけど、そういう人はそんなクラブには興味がないし使う気も全くないのでスイングの疑問なんて持ちやしない。

でも、もしこのプレーヤーの言葉を頭の端に置いてスイングしてみれば...例えばインパクトのあとクラブヘッドを低くしたまま振るイメージ、あるいはクラブヘッドが大きくゆっくりと身体の遠くを動いて行くイメージで...今までの自分のボールとはかなり違うイメージのボールが打てる可能性が高い。
ドライバーはもっと強く飛ぶボールが出ると思うし、アイアンは弾道が高く強い球が出て飛距離が1番手くらい違うはず。

もちろん身体の遠くをヘッドが動くと言っても、手とヘッドが一緒に動いていてはダメだし、低く振れと言っても、上体が突っ込んだりスエーしたりしてはミスが増えるだけで良い結果は望めないけれど。

ただプレーヤーのこの言葉は、スイングのポイント。
だから、この言葉を頭の片隅に置いておいて、自分のスイングを「少し」だけ「少しずつ」良い方向に持って行こうと意識していれば良い。
(いきなりのオーバードウは、スイングが崩壊してゴルフが楽しくなくなるからね)

100を切れない人は、この言葉の反対をやっている人が殆ど....練習場で他の人のスイングを見てみるとよくわかると思う。