ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゆったりしたテンポがつかめれば...

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「ゆったりしたテンポがつかめれば、ゴルファーも一人前」...中村寅吉

中村寅吉は、ツア-25勝、シニアツアー12勝の戦後日本ゴルフ界の名手。
樋口久子の師匠としても知られ、後年日本女子プロゴルフ協会の初代会長も務める。

さて、この「ゆったりしたスイング」というもの、口で言うのは簡単だが実際に簡単には出来るものではない。
数多くの名言に言われている「速すぎるスイングは絶対に良くない」と言う事、それ自体が普通のアベレージゴルファーにはよく理解できない事だろう。
特に「速すぎるバックスイングが良くない」とは、本当に多くの過去の名手達が言っている言葉だが...
練習場などで見かける普通のゴルファーは、殆ど全員速すぎるらしい。

面白いのは、プロよりも速くバックスイングをするそういうゴルファー達が、ほぼ全員トータルのスイングの時間はプロよりもずっと遅い。
遅いスイングと言われる代表的なプロ、アーニー・エルスのビデオ映像なんかと一緒にスイングしてみると良い...まず絶対に彼より早い時間でスイングを終われない。

ゆっくりとバックスイングしながら、切り返しからダウン・フォローにかけて、速く振っているように見えないのにアマチュア達より遥かに速い。
これが「ゆったりスイングする」ということ。

マチュアの並のゴルファーは、「ゆったり振れ」と言われると、「ゆっくり振る」事しか出来ない。
バックスイングをゆっくりと上げようと意識すると、切り返しもダウンもゆっくりとなり、全体に力が抜けただけのグニャグニャ腑抜けスイングと成り果てる。
当然飛距離は出ないし、全身が緩んだだけだからボールにちゃんと当たらず、ダフリトップ、テンプラ・チョロ、あげくの果てに空振りまでする。

ゆったりスイングすると言うのは、我々には実に難しい事なのだ。
全てのスイングが、自分の体力にあった正しいものでなくては出来ない。
「今のスイングが速すぎるから、ゆったりと振れ」なんて事は、「下手なんだから上手く振れ」と言われているのと同じ事だ。

で、我々にこれを言われてもどうしようもないかと言えば、努力目標として意識するのは役に立つだろう。
それは「ゆったり振る」を、飛距離が落ちてもいいから「少し自分のスイングのリズムを遅くしてみる」と考えてみる事。
例えば「イチ! ニ! サン!」で振っていたのを、「イーチ! ニー! サン!」にしてみるとか、「イーチ ニー」にしてみるとか...
特に多くの名手達が言っている「バックスイングが速すぎるのはミスのもと」と言う言葉を意識して、バックスイングだけをとりあえず遅くしてみる。
あるいは、バックスイングの始動の数十センチを意識してゆっくり動かす、とか。
ともかく自分のスイングの「はじめの方だけを遅く動かすように意識」してみる。

インパクトからフォローをゆっくりするイメージだと、我々のようなヘボはスイング自体が緩んでしまうから、それは考えない。
遅くゆっくりゆったりをイメージするのは、バックスイングから切り返し、ダウンの始めまで。

実際にやってみると、これは腕とか上半身だけの問題ではなく、体全体の動きのリズムとタイミングの問題なので実に難しい。
「ゆったりしたテンポをつかむ」という事が出来れば、上級者になったと言う事なのだ。

しかし、やらなければ一人前にはなれない。
速すぎてせわしなく、慌ててミスを繰り返し、速く動かしているはずなのにボールは一向に飛んでくれない...そんなゴルフを卒業したいなら、寅吉さんの言う「ゆったりしたテンポ」をつかむ努力をした方がいい。

まず、バックスイングをゆっくりから...ね。