ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

2011年全英オープン4日目

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2011年全英オープンは、北アイルランドのD・クラークの優勝で終わった。

15分ごとに冬から夏迄の天候が訪れるような、リンクスのゴルフでの戦い方を知っている男は、慌てず騒がず、静かに初のメジャータイトルを勝ち取った。
ここ最近続いていた、「新人」や「名前も知らない男」のメジャー勝利が、やっと「勝って当然」と言われる実力者のメジャー優勝となったわけだ。

D・クラークもこれで優勝出来なければ、とうとうヨーロッパを代表する実力者でありながら無冠で終わりそうな、コリン・モンゴメリーの二の舞となるところだった。

それにしても、英国の「リンクス」という所...ゴルフをプレーするには厳しい場所だ。
決してイギリスの北の方では無く、ドーバー海峡に面していて、海の向こうはフランスだというのに...
15分ごとに、強風と冷たい雨が吹き付ける真冬のような天気から、あっという間に雨がやんで晴れ間が見え太陽が照りつける天気に変わる...その度に選手達はセーターの上にレインウェアを着込んで、両手手袋で濡れネズミになってショットを打ったり、セーターも脱いで半袖のシャツになってスイングしたり。
景色は荒涼として、フェアウェイの芝地以外には海辺の植物が生い茂っていて、可憐な花を咲かせたり、背の高いヒースの群生があったり...

こんな中で観戦している人達が、着膨れした真冬の姿で動かずにじっと見ているのに感心する。
これが彼等のゴルフの当たり前なんだろうなあ、と思う。

4日目の流れは、ややイギリスびいきの厳しいゴルフの女神が、ゴルファー達のちょっとした心の揺れに対して厳格な審判を下していたような気がした。
ミケルソンが激しい追い上げを見せて、クラークに1打差に迫った11番パー3。
バーディーパットを外して、たかだか50センチもないパーパット。
ミケルソンは、「やれやれ」という感じで、何となくイージーにアドレスに入って...ほぼOKの距離のパットを押し出した...3パットボギー。
その後、あれだけ入っていたミケルソンのバーディーパットが入ることは2度となかった。

変わって差を詰めて来たD・ジョンソン。
彼の飛距離なら逆転は十分ある、と思った14番。
いつもアメリカスタイルの高い球を打って来ていたジョンソンが、2打目でアゲインストの左からの風に対して低いフック球でコントロールショットを打とうとした。
結果は右に行ったまま戻らず、OB。
ここをダボとして、クラークを追うものは誰もいなくなってしまった。

奥さんを5年前に乳ガンで亡くして、子供二人を男手で育てているというD・クラークのエピソードが流れる中、危なげなく優勝パットを沈めて2011年の全英オープンは終わった。

マキロイは、結局全米オープンの輝きを失ったまま、普通のプレーで4日間を終えた。
バレステロスの大会として戦ったスペイン勢も、スコアを伸ばせないまま4日間を終えた。
D・ラブ?鶚やT・ワトソン達ベテラン勢も、パットが決まらないまま終わった。

いかにも全英オープンらしい天気の4日間は、「リンクス」に慣れていなければ絶対に勝てない、とあのリンクスに住む女神が大きな声で主張していたような気がしてならない。

...で、自分があそこでプレーしたいか、というと...
軟弱な俺は「見ているだけでいいや」なんて気持ちが半分以上(笑)。
暑すぎる夏のプレーよりは、ずっといいだろうけれど。