ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

そう捨てたもんじゃない

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最初はあまり乗り気じゃなかった。
高校時代の親友の、F夫婦とのゴルフ。

高校時代、「美人で派手で勉強はそこそこ」というFと、勉強はできたが地味で大人しい私は「いつも一緒にいる」という意味で親友だった。
高校を卒業と同時に、年に数回手紙や電話で話す、という程度の付き合いになってしまったが。

それが30半ばでの同窓会で再会して、お互いにゴルフを始めたという話から、年に1-2回夫婦同士でゴルフをしましょうという話になってしまった。

自分たち夫婦がゴルフをやるといっても、自分の夫は会社の付き合いで上司に半ば命令されて始めたゴルフで、未だに100を切るか切らないかというレベル。
自分は、休日に留守番の多い私に気を使った夫が近所のゴルフ教室を勧めてくれて、それから始めたゴルフ...それから3年、未だに110を切れない程度だ。

Fに強引に誘われて夫婦同士のゴルフを始めたのは一昨年から。
最初の時には、自分達夫婦はF夫婦のゴルフの上手さに圧倒されて、「疲れ果てて帰ってきた」ことしか残らなかった。
Fの結婚した相手は背の高い陽気でハンサムな男で、代々の医者の家系とかで、ゴルフには子供の頃から親しんでいたというシングルハンデ。
Fは、結婚してからその夫に誘われて始めたとかで、90台でまわる腕。
自分の夫はFの夫に比べると、真面目だけが取り柄で、背も高くなくハンサムでもなく、お世辞にも格好よくはないスイングで100も切れないゴルフ...Fに対して、ものすごく「夫が恥ずかしい」と感じたラウンドだった。

そして、今度が3回目の夫婦同士のラウンド。
最初の時に、優しい夫に対して「Fに恥ずかしい」と感じた事の後ろめたさは、自分がゴルフに対して真面目に取り組む原動力ともなってきた。
それでも結局、今回までに自分の腕は大して上がらず、ルールやマナーなどの「ゴルフへの理解と愛情」だけが少し深まっただけだった。

今度のラウンドも、スコア的には完敗だった。
相変わらず夫は100を切れないし、自分も110を切れなかった...夫は月1のゴルフ、自分は2ヶ月に1回のゴルフではそんなものかもしれない。
Fは100ちょっと、彼女の夫は自慢そうに「77です。」と言っていた。

でも、今回は私は自分の夫を「恥ずかしい」とは全然思わなかった。
この前には目のあいていなかった私だって、勉強して目が開いて見えるようになったのだ。
このラウンドでは、ゴルフ慣れしたF夫婦のゴルフがよく見えた。
...そして夫のゴルフも。

Fの夫は、ちょっと曲がった時、ライの悪いところに行った時、持っているアイアンで平気な顔でボールを動かす。
ちょいちょいとボールを引っ掛けて、打てるところに出して、それからナイスショットを打つ。

自分の夫は、どんなところにボールが行っても、ごく当たり前の顔をして打とうとして、ミスをする。
それを悪びれる風も恥ずかしがる風も無く、自然にプレーして、よっぽどの事がない限り素振りもせずに決断して打つ。

Fの夫は、そんないいライに出して打ってもミスが出ると、しつこいくらいに素振りを繰り返して、言い訳をする。
自分の夫は、照れながらも「なかなか上手く行きません」といいながら駆け回るだけ。

真面目で地味で、格好悪くてゴルフの下手な自分の夫。
それに対して、格好が良くて家柄が良くて、ゴルフが上手いというFの夫。
決してボールに触らずに、プレーを遅くするまいと駆け回るうちの夫。
常にボールをいいライから打とうとしてボールを動かし、ミスのいい訳をして、なおかつスコアにこだわるFの夫。

さんざんボールを動かしておいて、「77です」と自慢げにFの夫が告げたとき、自分は思わずにやりとしてしまった。
「うちの夫の方が、格好いい!」

...今まで気がつかなかったけど、うちの夫、そう捨てたもんじゃない。