ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

アイアンのライ角

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もう15年以上前の「競技ゴルフ」とやらに燃えていた時期には、結構アイアンの「新技術」だとか、「画期的な性能」とかに注意を惹かれて、様々なアイアンを使ったものだった。

そんな時期がとっくに過ぎた今では、アイアンは「打感」と「美意識」で選んで、以前より遥かに満足したゴルフが出来ている(スコアは別として)。
最近は、特に職人の手作業が現れているようなセミクラシッククラブに目が行って、その中でもスポルディングのアイアンには惚れ込んでいる。

...そういう趣味の延長として、その発売された当時は値段が高すぎて手が届かなかった「名器」と評されたアイアンもいくつか手に入れてはみたんだけれど...
オークションで手に入れて、実際にコースでも使ってみたアイアン達は...ベン・ホーガン・パーソナル、倉本モデル、300フォージド、プロイズム、...等々。
結局、それらは憧れのアイアンだったのに、オークションで手に入れて、コースで一度使っただけですぐにまたオークションで売ってしまった。
かかったお金はごく少ない金額で済んだんだけれど、自分が気に入らない使えないと思った理由は共通していた。
それは、どのアイアンも「ライ角がフラットすぎる」ということ。
...当時の風潮が(今でも、か)「上級者はフラットなライ角のアイアンを使う」、とか「左に行きにくいアイアンが上級者用」なんて言う事も原因だったと思う。
それに、ベン・ホーガンはともかくフックしないアイアンを作りたかった訳だし、倉本モデルの倉本や、300フォージドの田中秀道たちは身長が高くない事もあって...いずれもライ角がフラット過ぎなのは当然だったんだろう(自分の身長が182センチということもあるけど)。

フラットなアイアンを普通のゴルファーが使うとどうなるかというと、普通に打つとどうしても右にふけて掴まらないボールにしかならないために、手首を激しく使ってボールを捕まえに行くしかなくなる。
...今の大型ヘッドのドライバーをうまく打つために、「インパクトゾーンでの手首のアクションをなるべく控える」という時代に、アイアンは捕まえに行くために激しく手首を使わなくてはいけないということになる訳だ...
「極」上級者には、アイアンで左にボールが行かないようにするためにフラットなライ角のアイアンを使う理由があるのかもしれないが、自分はアイアンを含めクラブというものは「まずボールをつかまえて」それからどうするかを問題にした方がずっと易しいのではないか、と思っている。
ゴルフの第一歩は、まずクラブフェースできちんとボールをつかまえること、だと思っているから。

だから、自分はアイアンでもウッドでも、クラブというものはまず「つかまる」アップライト気味なものが良いと考えている。
つまり、「つかまらない」(自分にとって)フラット気味なアイアンは、スイングを複雑で難しいものにするだけ。
「つかまる」(自分にとって)アップライト気味なアイアンでシンプルにボールをつかまえてから、つかまりすぎる事を調整すればいい、と。

本当は、信用のおける技術を持ったクラブ職人がいれば、その人にライ角の調整をしてもらう事が一番速いんだろうけれど、以前に書いたようにそういう職人の数は極少なく、失敗してボロクラブにされる可能性の方がずっと高いので自分は勧めない。

...もちろんこのフラットやアップライトは「程度」の問題として常識の範囲での話...「フラット過ぎる」アイアンと同じく「アップライト過ぎる」アイアンも、使い物にならないのは同じ事だけど。