ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

酒を飲む人

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「朝はやっぱり寒いなあ..」という季節、スタート前に熱いコーヒーでも飲もうかとクラブハウスのレストランに入った。
その男は、窓側の席でお銚子2本目を空ける所だった。
耳まで赤くして、気持ち良さそうに熱燗の酒を飲んでいる。
(おいおい、もう酔っぱらってるんじゃないか)
(そんなんでゴルフやって大丈夫かよ)
なんて心配になるくらい。

...その男と同じ組になってしまった。
「いやあ~、冷えますね」
「こんな時は軽く一杯引っ掛けないと、とてもゴルフする気になりませんよねえ」
...(ん? 軽く一杯? お銚子2本で?)
...(おいおい...)

飛ばないながらも、それなりのゴルフで楽しそうにプレーして行く。
パーオンはしないが、巧みなアプローチで入ってパー、外れてボギーなんてゴルフを鼻歌まじりで続けて行く。
特にパーだから嬉しいとか、ダボだから口惜しいという事も無いようで、話題は天気の話や病気の話。
「私、痛風が出るとゴルフ出来なくなるんで、毎日薬飲んでるんですよ。」
「ああ、高血圧もあるし、コレステロールも高いし、腰も痛いし、膝も痛いし、太り過ぎだし、心臓も悪いし..あっはっは..」
(あっはっはじゃないと思うんだけど...)

陽気なゴルフも3ホールほどで、4ホール目に林で立ち小便をしたとたん、まるでガス欠になったように元気がなくなった。
5ホール目に売店が見えた時には、パットもそこそこに「お先に」と言って売店に行ってしまった。
我々が売店についた時には、嬉しそうな顔をして何やら飲んでいる。
「なに飲んでるんですか?」
「ああ、これ養命酒の辛口です。 旨いですよ。」
(って、なんで3本も手にしてるの...)

一本を飲んだあと、残りをカートに乗せて、彼のゴルフは9番ホールまで楽しそうに続いた。

昼休憩のレストランでも、彼は「熱燗2本ね」。
「大丈夫なんですか? 色々と悪い所があるってお聞きしましたけど..」
「ああ、大丈夫ですよ。 寒い時には熱い酒飲めば、ぜ~んぜん大丈夫ですよ」
「すみません、こんな酔っぱらいで」

食事は蕎麦だけで、それを摘みに旨そうに酒を飲んでいる。
「おねえさん、もう一本頂戴!」
「え? もうかなり酔ってますよ...」
「あ、皆さんもどうですか? ちょこっと一杯」
「いえ、もうすぐスタート時間なんで結構です。」
「飲んでる時間、あまりないですよ。」

「ああ、もうスタート時間ですか...」
「いやあ、酒が旨いなあ..」
「じゃあ、私、午後はここで飲んでることにします。」
「ノーリターンと言う事でよろしく。」
「は?...」
(でも、その方がいいかも,,,)

「おねえさん、もう一本頂戴!」
「ホントに今日はいい天気だなあ...」

「ゴルフっていいよねえ...」
(はい...)

.....??