ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

焼き尽くされて...

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スタート前から気温は30度。

他の季節なら大歓迎の快晴の天気に、「雲の一つでも居てくれよ」なんて。
スタートして、2~3ホールで「まずいよ、この暑さ...」
心の声が音になって口から漏れる。
逆光だと眩しくて目を開けていられない。
打ち出したボールは、すぐに太陽に焼き殺されてどこに消えてしまったのか行方不明になる。
白砂のバンカーなんかに入った日には、座頭一ばりの目瞑りショットをやるしか無い(この方が成功率が高かったりするんだが)。
3+4だとか、5+4打とかの足し算が上手く出来なくなって9ホール。

水を飲み、ビールを飲み、水を飲み、グショグショのシャツを着替え、頭を冷やしてまた外に...

グリーン上は巨大な風呂と化して、膝から下はまるで50度くらいの熱湯の中に浸かっているようで。
木陰一つないフェアウェイセンターは、ゴビ砂漠の廃墟の跡に立ち尽くしているようで。
まるで他人の体の自分の体が、いうことをきいたりきかなかったりで。

気力を振り絞ってグリーンにたどり着き、必死でパットを打つ頃にはそろそろ記憶も薄れて行って、何時まで経ってもカップに落ちないボールを見つめて、来し方の人生を思い出し、思い出し。
自分はどうしてここに居る?
自分は一体誰なんだ??
...此処はどこ???

気がつくとソファに横になっていたり、気がつくと冷たいシャワーを浴びていたり。

「あれ? 今日はどうしたんだっけ?」
気がつくと自宅でビールを飲んでいて。
「あなた、大丈夫?」
「ボーっとして帰って来てから、ちょっと変よ。」

ああ、今日は本当に暑い一日だったっけ。
ゴルフに行って来たんだよな、確か。

覚えているのは、カップに入らずに濃い影を落としていた、白いボールの姿だけなんだけど。