ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ランナーズ アップ

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自転車で始めて走る道の途中に、人の住んでない一戸建ての貸家が5-6軒並んでいるところがあった。
もう何年も人が住んではいないようで、どの家も庭の草は茫々と生えていて、安っぽいブルーの色をした雨戸がキッチリと閉まっている。
貸家をやめて何かに建て替えようとして、住んでいた人々に立ち退いてもらったまま計画がストップしてしまったように見える、人が住んでない家々の風景は、廃屋の寂しさとはまた違った寂しさを感じさせる。
自転車を降りてそんな家々の姿を見ていると、一軒の庭の砂を集めた小さな場所に、黄色いプラスチックの小さなバケツと、見たことがあるような形の黒いカップが置き去りにされているのを見つけた。
「ひょっとすると...」と思って庭に入り手に取ってみると、やはりゴルフの入賞のカップだった。
自分で手に入れたカップも物置に入れたままにしていると、純銀製だか銀メッキだか判らないがみんな黒く変色していて、同じようになっている。
どこのゴルフ倶楽部も、入賞カップなんて同じような形だから、「これは?」と思ったわけだけど。

手に取ってみると、銀製らしい小さなカップに彫り込まれていたのは、「Hカントリークラブ 1992年 10月 月例杯 RUNNER-UP」の文字。
もう16年以上前の、月例2位入賞カップというわけだ。
それを子供が砂遊びの道具に使っていたんだろう。
...自分でも1985-6年頃のカップを娘達にあげて砂遊びに使わせていたから、よくわかる。
飾っておいてもすぐに黒くなってしまうカップを、いちいち磨くような趣味もなく、どうせまた手に入れるからとおもちゃ代わりにあげていた。
そんな娘達もすぐに大きくなり、カップはどこかに行ってしまったけれど。

1992年のカップだと、もうそれで遊んでいた子供も大きくなってしまっただろう。
持ち主はここから移った先で、もっと沢山のカップを手に入れているんだろうか。
それとも、子供ももうゴルフを始めているのだろうか。
それとも...