ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルフな風景...02

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「がんばっても報われない」
ゴルフってそんなもんじゃないだろうか、と俺は思っている。

かって月例などの競技に真面目に出ていた頃、競技が終わって同伴競技者とクラブハウスで歓談していると、必ず長い時間パターの練習をしているメンバーがいた。
クラブハウスのレストランからは、赤い夕日が落ちて行く中、長い影を引いてパットを延々と打ち続ける彼の姿がよく見えた。
でも、彼が「パットが上手くなった」とか「ハンデがよくなった」とかの評判は、とうとう聞くことはなかった。

以前、あるプロが「ゴルフはミスのゲームである」と言っていたが、我々のするゴルフはその殆ど全部がミスなんじゃないだろうか。
果てしなく続くミスショットに、真面目で、純情で、(いくつになっても)初心な、我々普通のアマチュア素人頭でっかちゴルファーは、ラウンドが終わる度に一体何回反省し、後悔し、自己批判するんだろう。

考えてみれば、ゴルフの女神だけじゃなく、「ゴルフ」そのものがなんと浮気で、やくざで,泣き上手、喜ばせ上手で魅力的な悪女のようなんだろう。
くじけて、疲れて、諦めかけると、思い出したような「投げキッス」...会心のドライバーが、ピンにぴったり絡むアイアンが...暗闇から光の元へと引き戻す。
別れを言おうとするその口元に、「触れなば落ちん」風情で肌寄せて...カップを通り過ぎたアプローチが、バックスピンでカップをなめる。

本当は「がんばった」せいじゃない、ほんの女神の気まぐれが、「やれば出来る」と思わせる。
本当に努力が実るなら、やったことだけ上達出来るなら、みんな今頃シングルで、みんな今頃もて男。

それなのに、ああ、真面目な我々ゴルファーは「あの快感」は、努力しなくちゃ手に入らないと思ってしまう。
がんばれば、次はきっとあそこでバーディーだ、きっとあそこはパーオンできる、きっとあんなスコアで回れる...なんて。

でも、ちょっとがんばってすぐ手に入るものだったら、人は(ゴルファー)あんなに燃えないか...
すぐに出来てしまうことになんか、人はあんなに本気にならないか...
すぐ手に入る女には、男はそんなに貢いだりしないし...(笑)

がんばっても報われない。
でも、がんばらなくちゃ楽しくない。
今日も日本中で、初心で純情で真面目なゴルファーが、(たとえ上手くなれなくたって)汗を流してがんばっているんだろう。

ああ、ゴルフ、おまえはホントに....