ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

そうか、時間が経ったんだ...

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スケッチブックが無くなった。
古いマックG5が起動し難くなった。

しょうがないな。
俺が使いたいスケッチブックは、銀座の伊東屋でずっと買っていたし、マックを治すにはとりあえず電池交換でもして具合をみる為に秋葉原のマック専門店に行ってみるか。
急に思いついた、昨日の午後。
昨年暮れ以来の銀座と秋葉。

急だったので別に誰と会う予定も無く、行く所も二つだけ。
銀座は、すれ違う東洋人の言葉は殆ど日本語ではなく、銀座通りに面した「元」画材屋は、表通りの店舗に画材は無く画材は全て裏の店に。
ずっと個展をやっていた越後屋画廊も今は無く、クロッキーを続けていた読広も引っ越して、うちの奥さんが居た京橋の会社も今は無い...我が青春の銀座1丁目は、すっかり違う街になっている。
...それはしょうがない。
秋葉原は、ほぼ10メートルおきにメイドコスプレの少女がチラシを配り(ただし、俺を避けてチラシを渡す(笑))、表通りのパソコン専門店は殆どゲームとメイドの店に様変わり。
かってはビル丸ごとマック専門店として名が知れていた店が、どうしても見つからない。
ケータイのマップで店を探すと、自分はその店の前に居る!
驚いて周りを見渡すと、小さなビルの遥か上の方の看板に...1フロアだけのその店の看板が。
一応目的のものを手に入れて...「さて...」と思うと、自分の立場は浦島太郎。
かってのいつもの飲み仲間は...もう誰もいない事に改めて愕然とする。
山溪もゴルフダイジェストもアサヒゴルフも、あるいは小さな広告代理店も小さな編集プロダクションも、俺が一緒に飲んだ「仲間」はもうずっと以前に定年になってこの街を去っている。
そうか、時間は過ぎたんだ。
一番多く一緒に飲んだ修三だって、去年あの世に行っちまった。

かと言って、いつも独りで気楽に飲んでいた店も、もう一軒も無いんだっけ。
新橋の洒落たマスターのビアホールは、高齢になったからと随分前に店を閉め、ある店は立ち退いて店を閉め、ある店は親父が親の介護をするからと店を閉め、ある店は親父が癌で代が替わり、ある店のマスターは親会社の定年だからと店を閉め...

そうだよ、時間は過ぎたんだ。
右を向いても左を向いても、空を仰いでもしょうがない。
ならば最後の手段だと、浅草の神谷バーで独り飲み。
ビール中ジョッキとデンキブラン、串カツと焼き鳥で淋しく飲むと、見渡す周りは俺とおんなじようなジジーの一人飲みばかり(笑)。
みんな独りで、みんな黙って、みんな文庫本の本を読み。
敢えて顔は合わせないけど、たまたま視線があってしまえば、ふっと自嘲する同じ笑いで目を伏せてちょっと苦そうに酒を飲む。
小一時間、普段はおかわりしないデンキブランをもう一杯。
煮こごりとアンキモを追加して。

殆どジジーの一人飲みの中、女性連れで飲める奴は多分勝ち組なんだろね。
ジーの苦笑いが、そんな二人を見る時に、ちょっと羨ましそうに歪む。