ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

下手なゴルファーは悪いことだけ考える

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「ボールを打つ前に、上手いゴルファーは大事なことだけ考え、下手なゴルファーは悪いことだけ考える」...ジーン・サラゼン。
ジーン・サラゼンは、ボビー・ジョーンズやサム・スニードらと同じ時代(1020~30年代)に、腕を競った名ゴルファー。
メジャー7勝を誇り、「サンドウェッジ」を考案したことでも知られる。

この言葉、どこかで聞いたような気がしないか?
実は歴史上に残る多くの名ゴルファーが、似たようなことを言っている。
「打つ前のイメージが大事」という話だ。
ニクラスは「打つ前に良いイメージを映像で思い浮かべる」とか言うし、パーマーは「悪い情報はいらない」と言うし、ミッキー・ライトは「打つ前に悪いイメージを持つと、その通りのミスになる」とまで言っている。

つまり、ゴルフってやつは歴史に残る名手でさえこうした言葉を残すほど、「心理」に左右されるゲームってことなのだ。
単純な力と技術で何とかなるようなゲームではなく、「心の動き」が結果を左右してしまう。
だからこそ、「日々迷走」「歓喜開眼」「絶望閉眼」を繰り返す飽きない、面白いゲームでありえる。
それは、長く苦労して手にしたと思えた「技」が、目の前の景色でいっぺんに吹き飛んでしまうゲームであり、ずっと苦しんで悪戦苦闘してきた「壁」が、ふとした気持ちの揺らぎであっと思う間もなく超えてしまうゲームでもある。

でも、心の動きでそれまでの技術が「無」になってしまうゲームなら、心の持ちようで今までできなかったことが「やれてしまう」可能性だってあるゲームではないか?

ここは、ジーン・サラゼンの言う通り、「打つ前に悪いことだけ考える」のはやめてみよう。
「池に入りそう」とか、「OBに行きそう」なんて考えるのはもってのほか。
「この前、このホールで...」なんて、悪い記憶を引っ張りだすのもダメ。
ただね...できれば、似たようなホールでの成功体験がリアルに頭に浮かぶのが良いんだけれど、そうそうヘボゴルファーにそんな都合の良い記憶の蓄えがある訳じゃなし、良いイメージってのが簡単に湧き難いのがつらいところ。

かといって、ニクラスのように「頭の中に良いショットのイメージを映像として映す」なんてのも、我々ヘボゴルファーにはただのスロープレーの原因になりそうだ。
それに、そんなイメージが浮かべたとしても、それ自体なんか嘘っぽくて自分で信じられやしないだろう。

そこで、「良いイメージを浮かべる」とか「大事なことを考える」のはヤメにする。
要するに悪いイメージが頭に浮かばないようにすることが一番大事なんだから、それを打ち消すことだけに専念する。
例えば、「その日の昼飯を何にするか考える。」
例えば、「今読んでる本の内容を思い浮かべる。」
例えば、「昨日の天気を思い浮かべる。」
注意点は、ゴルフに少しでも近い事柄を浮かべると、ゴルフの不安がまた浮かんできやすいこと。
また抽象的なことは、打ち消す力が弱い。

なので、できるだけゴルフと関係ない事で、具体的にこんなことを考えるのも良いかもしれない。
例えば、「今一番食べたいラーメンの映像。」
例えば、「今までで一番気に入った誰かの笑顔。」
例えば、「今までに一番気に入った映画の場面。」
例えば、「今までに一番気に入ったエッチな画像(笑)。」

いつもアドレスに入ると不安になる人は、やってみる価値はある。
どんなホールだって、こんなことをイメージすると「多分」不安なことを考える間もなく、自然体に近い動きが出来るはず。

ただし、実力以上の「奇跡」が起きる訳じゃあ決してないので、あしからず。