ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

レベル7

イメージ 1

東北関東大震災から1ヶ月が過ぎて、福島原発は「レベル7」と発表された。

世界で「日本」が、被災者から加害者へと認識が変わった瞬間になったろう。
...レベル7なんて、我々は本当ははじめの頃から、薄々感じていた事だったんだけれど。

福島原発...地震津波はしょうがない。
だがそれに対する備えの必要を、複数の学者や研究者、政治家などから指摘されていたにもかかわらず、「あり得ないこと」として、聞く耳を持たなかった東電の「エリート」であろう責任者達。
起きてしまった事態を収めるべき場所にいたのが、「首相になりたかった」だけに見える男。
「その時」総力を挙げて事態に対処するべき責任政党は、まだ政権の座をとったばかりの初心者政党。
その政府を追求しているのが、今迄ずっと政権の座にいて、その欠陥原発をこんな状態で大量に作って来た政党。
その欠陥原発を作らせて来たのが、資源が無いのに贅沢で便利な暮らしを求めて、要求ばかりを膨らませて来た、普通の国民の我々。
責任は、殆ど全ての日本人に大小の差はあれ、あると言える。

この「レベル7」の発表の後、世界は東北の被災者の事を忘れて、原発の事態への非難の声が増えるだけだろう。
あるいは我々は、世界の嫌われ者ともなるかも知れない。

日本国内でも、やれ「東京から脱出しろだの、「日本から逃げ出せ」だの騒ぎが起こるだろう。
実際に、福島という県は人の住めない場所として、ただひまわりだけが咲き誇る、まるでSFの世界のような場所になる可能性が無いとはいえない。

でも、あえて暴論をいう。
放射能なんて、即命に関わるようなレベルのものを浴びる訳では無い限り、恐れすぎてもしょうがない、と。
例えば、半数以上がガンになるとか白血病になるというのでもない限り...
米ソ冷戦時代、地上で普通に核実験が行われていた時代、アメリカ・ソ連・イギリス・フランス・中国なんかが、どのくらいの放射能を世界にぶちまけていたのか、知っているだろうか?
その時、東京を始め世界中にどのくらいの放射能が降り注いでいたのか、判るだろうか?
それでどのくらいガンが増えたのか、白血病が増えたのか?

チェルノブイリでの放射能汚染で、周りに住んでいた人々にどのくらいの影響があったのか?
それは事故が無かった時と、どのくらい違うのか?

...決して許されるべき事故ではないのは、判っているのだ。
この事故が収束する事ができた時には、東電の責任者、特に津波に対する備えを「必要ない」と判断して拒否した責任者など死刑にしてやりたいくらいだが、今はその時ではない。
世界に忌み嫌われるようになってしまう日本を、俺たちが応援しなくてはいけない。

あの地上で核実験を平気でやっていた時代に比べれば、今の放射能なんて大した事は無い。
放射能が検出された野菜だろうが魚だろうが、美味しく食べてやろうじゃないか。
アジでもサンマでもイワシでも、美味しく刺身で食べてやる。
純米酒の竹葉でもあれば最高だ、
放射能入りの野菜のおひたしと、放射能入りのイワシの刺身、アジのナメロウなんかがあればいう事は無い。
ついでに温泉は、ラジウム温泉なんかに行ったりして、放射能と一緒に生きてやる。
腹くくってやるさ。

ともかく事態が収まる迄は、それしかできないのだから。

...東北の被災地の復興にも時間がかかる。
しかし、だからこそ、その復興の道筋はそれぞれかってな企業の儲け主義に任せないで、長期的な「統一された美」の観点から作り上げて欲しいと思う。
この復興のビジョンは、津波に壊される前よりももっと美しくそれぞれの町を作り上げる、絶好のチャンスでもある。
数年経てば、それぞれの町がそれぞれ東北を代表するような美しさと味を持った、個性的な町として再興している...そんなことが今なら可能なのだ。

俺は夢見ている。
東北のあの一帯が、それぞれ独特の風情を持った、世界一美しい町並みの連なる地域になっている事を。
落ち着いた「フクシマ」が、物欲本意強欲資本主義からの転換点になっている事を。