ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

コース考

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先日、典型的な日本風林間名門コースとやらでプレーして、考えることがあった。
両側には歴史を感じさせる松の木の林が続き、緩やかにうねる広いフェアウェイ、それぞれ小さなメインのコーライグリーンとサブのベントグリーンが並ぶグリーン周り...
グリーンから次のティーグラウンドまでの距離は短く、松でセパレートされた林はそう簡単に隣のホールから打ち込まれたりはしない。
松の林は、季節の変化に関係なく常に同じような風景とプレーする条件をゴルファーに与える。
二つのグリーンは、どんな季節の変化にも十分に対応する、手入れされたグリーンをゴルファーに与えてくれるのだろう。

...だけど自分は、プレーしていて楽しくならなかった。
自分がこういう古い伝統のあるコースをあまり好きではない、ということを改めて思い知った。
そうして考えてみると、ゴルフコースの歴史というものには敬意を払う気持ちはあるが、プレーするのならこういう「伝統的日本風林間コース」ではなく、狭くてもアップダウンがあっても、歴史が無くて安っぽくても「アメリカ風ワングリーンのコース」や「リンクス風ワングリーンのコース」の方がずっといいと思ってる自分がいる。

「一年中同じ条件でプレーさせてくれる」という松林は、俺にとっては「一年中同じ景色」で面白くない...たとえ秋に落ち葉でボールを無くすことが多くても、冬の枯れ木の林が貧相でも、四季折々の時の移ろいを感じさせてくれる落葉樹の林の方がずっと好きだ。
まして、ティーグラウンドからだんだんグリーンに向かって集中して行くべきショットに対して、だらしなくぽかんと広くなったツーグリーンの間の抜けた風景は、いつもどんな名のあるコースでも興醒めする景色としか感じることができない。

自分の感覚としては、ワングリーンのコースに対するプレーはグリーンに近づくに従って目標が狭くなり、短いクラブを使うほど狙いが厳しくなっていくためにゴルフを遥かに楽しめる。
そして、地形的なハンデさえホールごとの景色の大きな変化となって楽しむことが出来るし、あちこちに残る雑木は新緑も花も紅葉も、それぞれにゴルファーを楽しませる。
スコアは良かろうが悪かろうが、ゴルフがある種の「旅」のゲームだと思っている俺は、ホールごとにハラハラしたり興奮したり...「この次のホールにはどんな旅が待っているんだろう」なんて気持ちが常に新鮮で楽しい。
...ところが、こういう古い林間コースは次々とホールを重ねていっても、ほぼ同じような景色が続いて俺のような記憶力の良くない人間には、ホールを覚えられない。
新たな感動の旅がホールごとに始まるのではなくて、常に前のホールの「続き」の旅しかないような気がしてくる。

コースのいい悪いではなくて、ゴルフの楽しみ方が違うのだろう。
俺は、ワングリーンで変化のあるコースを好む...後でトリッキーだとかフェアじゃないとか狭いとか文句を言っても、ボールを沢山無くそうとも、いくら大叩きしようとも、そういうコースでのゴルフの方が俺は楽しんでいる。

残り少ない時間、まだまだ沢山回ってないコースがある中で、やっぱり俺はワングリーンの変化のあるコースの方を楽しんで回って行きたい。

あくまで好みの問題だけど、あらためてそう思う。