ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

すきま風

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三寒四温と言うけれど、一日一日気温の変動の幅が大きい。
今日暖かいからと油断すると、次の日はあっさりと最高気温10度を割る。

寒ければ10度以下、暖かければ花粉と、心落ち着く日々はなかなか訪れない。

まだ寒さが気になる日々、我が家にはいつにも増してすきま風が吹き抜けている。
いろいろな引き戸が皆ちゃんと閉まっていない。
これは別に立て付けが悪いという訳ではなく、この家に住む人々がちゃんと戸を閉めないから。
...もう19年にもなる習慣。

部屋に同居人が見当たらない時は、必ずぎりぎり通れる幅の隙間を開けておく...それが暗黙の了解であり、部屋に入ってくるまでは閉めてはいけない。
...それは今年1月に19歳で逝った猫のために、皆が自然にしていた習慣。
戸を閉めるのは部屋に入って来たのを確認してから。
部屋を出る時には隙間を開けて、帰ってくるまで開けておく。

どんな寒い季節もそうしていたから、我が家には寒いすきま風がしょっちゅう吹いていたけれど、そんなに気もしていなかった。
あいつが御通りになるのだから当たり前、という感覚。
猫というものは犬と違ってあえて構ったり構われたりすることがなく、ごく自然にそこにいる「ただの同居人」という感覚なので、普段から「不在の時」が多い。
だから「永久の別れ」となっても、それが実感し難い。
空気のようにいて、空気のように去って行く存在だった...そんな感じだろうか。

今日もつい今までのように、戸を少し開けておく。
あいつが今までのように、なに食わぬ顔で入ってくるような気がするから。
戸が閉まっていると、不満そうにこちらを向いて「ニャー」と鳴き、戸を開けろと催促するから。

...でも、最近は慣れているはずのすきま風が、酷く寒く感じる。