あのスキャンダル以来、故障とイップスに悩まされて成績が急降下し、ツアーでその姿を見ることが激減したタイガーだが、このまま消えてしまうのはちょっと情けない。
普通なら十分すぎる以上の成績を残したゴルファーとして讃えられて当然な存在なのだが、俺的にはまだやり残したことがあると思っている。
何しろタイガーが若くしてアマチュアからプロになり、黒人選手あるいは有色人種のゴルファーとして白人選手たちの作った世界へ挑戦し、その対応やルールまで変えてしまった「ヒーロー」になるのをリアルタイムで見てきた俺には、ゴシップなんかをきっかけにした没落したままでで終わるのは「物語」の終わりとして納得できない。
俺が彼に望んでいるのは、「消え去りゆく王者の誇り高い敗戦」の記録だ。
彼には彼に憧れ、台頭してきた若い挑戦者達との、記憶と歴史に残るような試合を残して欲しい。
相手はジョーダン・スピースでも、ダスティン・ジョンソンでも、ローリー・マキロイでも、あるいは松山英樹でもいい。
激闘・死闘を演じて、爽やかに負けてから引退して欲しいのだ(もちろん、
勝ちもありだけど)。
そして堂々の一騎打ちでタイガーを下したものこそ、真の次世代のヒーローとなりスーパースターになる...今は結局群雄割拠の戦国時代で、日替わり優勝の日替わりヒーローになっている。
ヒーロー・スーパースターのお墨付き・免許皆伝は、タイガー・ウッズとの一騎打ちに勝った者...そんなファイナルストーリーの立派な敵役として、タイガー・ウッズには以前と同じような強さに復活する責任がある。
彼がデビューした時から見ていたからこそ、それを見てストーリーの完結を感じたいのだ。
強くなり、頂点に立ち、やがて力衰えて若きヒーローに敗れて去って行く姿まで見せる事で、ターガー・ウッズのお話は終わらせたい。
ゴシップや故障やイップスで終わりではいけないのだ。
これが今シーズンのツアーの、俺の一番の楽しみだ。