眠いのに、結局4時半から見てしまった。
アウトのうちに早々と期待していたお腹の出たオッサン達はボギーを叩いて落ちて行き、アメリカの期待を集めた若者二人も伸び悩んでいるうちにボギーが先行して、ズルズルと落ちて行く。
早めのスタート組のあちこちで、バーディーを量産して頭を出して来るのもいるけど、「へえ」と思っているうちにボギーを打って頭を引っ込める。
調子が良くて伸びて来ても、それをそのまま行かせない所がマスターズのオーガスタの素晴らしい所なんだろう。
インに入る頃には、優勝争いは最終組の二人ローズとガルシアにほぼ決まって来た。
この二人はつまらないボギーを打たずに、少しずつスコアを伸ばして行く。
しかし、この二人を見ているとショットはガルシア、パットはローズと得意分野が別れて、それぞれの強みを生かしてスコアを伸ばして行く。
ガルシアのショット、特にアイアンの切れは凄い。
しかし、それでワンピン前後のチャンスに次々とつけて行くけど、それが悲しい程に入らない...ともかく肝心な時に「打てない」。
試合は13番でガルシアが左の木の中に打ち込み、アンプレヤブルにした所で決まったように見えた。
ガルシアはやっと4オン、それに対してローズは楽々2オン...が、これを二人ともパーで終えた事でガルシアは命拾い。
15番の2打目の凄さ...ピン直撃のアイアンの精度と、普段だったら絶対に入らないイーグルパットを入れた(これは多分見ていた誰もが、この日が誕生日だったあのセベ・バレステロスが「入れてくれた」と思っただろう)時、優勝する姿が見えた気がした。
ところがそのまま行けないのがガルシア。
16番では、短いバーディパットを手が動かずにただのパー。
もう73回もメジャーに挑戦しながら、一度も勝てないのはそのパットの酷さ...このレベルでは「イップス」と言ってもよいだろう。
それを観客も皆知っているから、この頃から1m以内のパットでさえ入れれば観客から大声援...クールでパットの上手いローズが、まるで「判官びいき」の観客達にとってすっかり敵役のようになってしまったのはちょっと可哀想だった。
そのパット名手のミスパットで同スコアになっての18番、「やっぱりのガルシア」は短いバーディーパットを外して結局プレーオフ。
あの短いパットを外した事で、もし今年勝てなかったらゴルフを引退するくらいの傷になるだろうと心配迄する始末。
プレーオフは、先にローズのティーショットミスで1打のハンデがついたけど、ローズがパーパットを入れれば、やっぱり今度もガルシアはパットを外すはず...それが入らずに、やっとガルシアのバーディパットが(バレステロスのおかげで)入って、ガルシアの優勝。
ローズは近い将来グリーンジャケットを着れると思うけど、ガルシアは今日の勝利をモノにしなければもう二度とチャンスは来ない...自分はそんな風に感じていたけど、多分観客の人達もそう感じていたから、8~9割の人がガルシアの応援になってしまったんだろう。
長い時間の観戦だったけど、今年は納得の行く良い結末になった様な気がする。
そうそう、スピースが最終日の12番でまた池に入れたのは、彼の精神に大きな傷になって残るのではないかと心配している。
パワー全盛の現代ゴルフだけど、ゴルフって言うのはやっぱり「心と気持ちに影響されるゲーム」だと言う事だ。