ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

ゴルフスイングは、木こりの斧の使い方と全く同じ

イメージ 1

「ゴルフスイングは、木こりの斧の使い方と全く同じ」...サム・スニード。

サム・スニードと言えば、「ナチュラルスイング」。
リズミカルで、どこにも無駄な力が入ってないような彼のスイングは、バージニアの山奥で育った少年時代に、きこりの手伝いをした時に体得したものだと言う。

あの重い斧で大木を切るのは、力任せに振り回すだけでは絶対に無理。
無駄な力を使わずに、繰り返し同じ所に効率よく斧を叩き込まなければならない。
それこそ、リズミカルで再現性が高く、インパクトの瞬間には強力な破壊力がなければ仕事にならない。
そう考えてみると、フォローからフィニッシュは無いけれど、ゴルフスイングに共通するものは多い。

面白いのは古来からの同じような格言・名言に、「長いほうきを振るようにスイングせよ」とか「大鎌を振るようにスイングせよ」なんて言葉がある事。
いずれも、共通するのは我々が普通思っている「振りやすいクラブ」とは全く別のもの。
斧は超重いし、ほうきは長過ぎるし、大鎌は長いし重い。

ここにポイントがあるようだ。
重い物、長い物を振ろうとする時、どうしたって手先でひょいと持ち上げて、上から思い切り力を入れて振り下ろすなんて出来ない。
まず振り上げようとすれば、下半身をしっかりと意識して、全身の力をうまく使って持ち上げる。
そして一番重要なポイントが、振りかぶった物を振り下ろす時に、腕力に物を言わせて力任せには「振り始められない」ということ。
重いもの、長い物を振り下ろす時には、手の力で振り下ろそうとするのではなくて、ある程度斧なり、釜なり、ほうきなりが「自分で落ちてくる」のを待つ感覚がいる。
腕力で、ではなくて自然に手が下りる感覚だ。

ベテランのきこりの動きを観察していると、振りかぶった斧を下ろし始める時は、一瞬力が抜けて斧が落ち始める力を利用して、それに徐々に力を入れて加速して行く。
そして木に当たる瞬間には、ギュッと全身の力を集中して斧の刃に注ぎ込む。

この動きは、身近では「餅つき」の杵の動きに似ている。
慣れていない人間に餅つきをやらせると、振りかぶった一番上の状態から手に力を込めるので、たいがい振り下ろした杵は餅の所に行かずに、臼の周りを叩いたりして木屑を餅に落として怒られる。
おまけに、力が入りまくっているので何回もやらないうちに息があがってくる。
上手い人は振りかぶった杵が、重さで自然に落ちて来るのを待って、落ち際に力をひょいと入れる。
そうすると餅に上手く当たって、「ペタン!」と気持ちの良い音がする。
そうなると何回やっても息も上がらず、リズミカルに返しの人とも息が合って、旨い餅がつき上がる。

...感覚的に理解出来ると思う。
問題は、現代のゴルフクラブが全て、ひょいと手で持ち上げて、力任せに振れば振れてしまうことかもしれない。
「易しく飛ばす」ために進化して来たクラブは、どんな間違った打ち方でも飛ばせてしまうから良いスイングを会得し難い、ということ。

勿論現代の軽いクラブでサム・スニードの言うように振れたら最高なんだけど、どうしてもそう振れないという人は、(振れる範囲で)出来るだけ重いクラブを使うという事も「あり」だろう。
...軽い最新のクラブに逃げ過ぎている事は、良いスイングをし難くさせて、上達を遅らせている原因かもしれない。