ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

素晴らしい「アマチュア」スイング!

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先日のオープンコンペの時に一緒になったKさんは、良くコースを知っているとはいえ、殆どのホールでパーオンして、2バーディー78でラウンドしていた。
このKさんのスイングは一風変わったもので、見事にドライバーもアイアンも全く同じタイミングだった。
アドレスは普通の構えで、特に変わっている印象はないんだけれど、テークバックに入った途端、見ている人は「ギョッ!」とする。
いきなり後ろを振り返るような形で低くしゃがみ込み、左足かかとも浮かせて右足一本に体重を乗せる。
そのまま、じりじりと2-3秒間静止し、振り返りざま起きあがりざまにパワーを集中してインパクトする。
素晴らしいのはドライバーもアイアンも、見事にインパクトの形はきれいに決まって美しいこと。
このインパクトの形は俺が長年描き続けてきた、プロ達の形と殆ど変わらない。

驚くのはその後...インパクト直後から右足が浮いて、身体全体が左足一本を軸に左に回転してしまう。
その後大きく右足を前に踏み出して、右半身の体勢となってボールを見続けて、右に行きすぎている場合は腰を左に、左に行きすぎている場合は腰を右に、2度ほど「クイッ!クイッ!」と捻る...そうすると大体ボールは言うことを聞いてファウェイセンターに、グリーンのピン側に寄っていく。

ただスイングだけを見ていたら、とてもシングルハンデの人のスイングには見えない。
しかし、その正確性は驚くべきもので、俺は思わず「この人がこのスイングで、ここまで正確に打てるようになるまでにどれだけの努力をしたんだろうか..」なんて思ってしまう。
大学ゴルフ部出身の人が平均的にするようなスイング、というのが一番合理的で早く上手くなれるスイングだと思う。
謂わば「形」から入って、ボールを正しく打つことを覚えていく。

この人のような個性的なスイングをするアマチュアは、「打つ」事から入って「打ちながら」自分なりに納得のいくボールが打てるようになるまで試行錯誤を繰り返して行く。
多分、合理的なスイングの形を教え込まれた人の何倍もの時間と実践が必要だったろう。
この時も「今日で4日連続です」なんて言っていたから、アマチュアとしては「時間と金」にめぐまれた特別な人なんだろうとは思う。
しかしその自分なりのスイングを、多分自分だけで作り上げたであろうその「情熱の持続」を尊敬する。
決して美しくはないけど、自分が正確に打つ方法を独自に作り上げた、いわば市井の「名人」だ。

...彼のスイングをプロに「真似して打ってみて」と言っても、ちゃんとは当たらないだろう。
ゴルフは面白い。
あちこちに、プロにも出来ないことをする「名人」がいる。