ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

忘れられないプロゴルファー...35「カーチス・ストレンジ」

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カーティス・ストレンジ、PGA17勝。
そのうち1988年、1989年に全米オープン2連覇を達成したプロゴルファー。
これは1950年、1051年にベン・ホーガンが達成して以来38年ぶりで、そのあとは現在まで誰も達成していない。

しかし、ある意味で時代の顔ともなるような実績を残したゴルファーなのに、なんと存在感の薄いプロゴルファーなんだろう。
マチュア時代は、けっこう「飛ばし」でアマ界を席巻したのに、プロになって大幅なスイング改造をして、「正確性」に重きを置いたスイングを自分のものとした。
それと同時にコースに対する攻め方も、冒険を一切しない、一般受けしない地味で確実なゴルフをすることに徹底した。
技術的には、両腕と肩で作る三角形を崩さず、レートコックで手と手首の動きを抑え、スイング中殆ど頭を動かさずに、一定の速さでヘッドを走らせる事を徹底する、というもの。
本当にどんなときでも、同じリズムで同じスイングをすることが、彼の特徴だった。
その結果が88年、89年の全米オープン連覇だった...

しかし、見ているにはつまらないゴルフだった。
同じようなタイプの、ニック・ファルドより何倍もつまらないゴルフだった...まだファルドの方が人間味あるとさえ感じたほど。
試合の名前も場所も覚えていないけれど、当時テレビで中継を見ていて、最終日1打リードされている最終パー5の2打目だった。
クリークか池越えのセカンド、相手はもう2オンもしくは2オンに近いところまで打っていて、バーディーは確実というところ。
1打差だから、自分も2オン狙ってイーグルなら追いつく。
3オンではほぼ100パーセント追いつかない...距離は彼でも十分2オン可能と解説者が言う。 ...しかし、ストレンジはそれまで3日間ここを刻んでいたのと同じように、躊躇なく刻み、当たり前のように負けた。
このシーンは、以前チップ・ベックがマスターズで刻んでブーイングを受けたのと同じ...ストレンジもそういう「チャレンジ」はしない男だった。
彼にとって、どんな時でも自分の決めた攻略法からは外れないのが「彼のゴルフ」だったんだろう。
それはそれで、本当は凄いことは百も承知で...見ている我々には「つまらないゴルフ」の典型だった。

彼の試合なんぞ見ても面白くない...そう思ったのは俺だけではなかったようだ。
あれだけの結果を残しながら、殆ど話題にも上らず、それなりにハンサムな風貌であったにもかかわらず、彼の顔を覚えている人さえ少ない。

1988年、1989年の全米オープン連覇のあと、ストレンジは全く勝てなくなって、いつか噂も聞かなくなった(完全な「燃え尽き症候群」といわれた)...最近チャンピオンズツアーなんかでその元気な姿を見ることは出来るけど。