外は冷たい風が吹いていても、ガラスのこちら側には暖かい日溜まりがある。
まだ子猫の猫は、ただ気持ち良さそうに横になっている。
人に育てられた猫は、全く無防備に、安心しきって日の光の中に身体を伸ばす。
運命とは不思議なものだ。
この猫の寛いだ姿に、思わず笑ってしまう飼い主の元に、野良として生きていたこの子猫の兄妹も親も、この厳しい冬を越えられずに凍死してしまった、という知らせが届く。
野良の生活にとても耐えられない程、育ちが遅く、弱く、小さかった猫はこうして人に飼われて日溜まりの中で微睡んでいる。
その力と敏捷さと気迫で、野良で生きようとしていたこの猫の兄妹や親は、その戦いに敗れて去って行く。
...人も猫もそんなものなんだろう。
結果を知らない運命の中で、何が正解かなんて死ぬ時まで判らない。
そして結果がわかった時だって、後悔しなければ答は一つじゃ無い。
さあ、子猫よ。
お前は兄妹や生みの親に別れを言おう。
お前はお前として行きて行くために。