ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

テヤンデエベラボーメ!

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「テヤンデエベラボーメ!」
最近お気に入りの、私のおまじないの言葉。
意味は判らなかったが、小さな子供の頃から知っていた。
なんでも、私が本当に小さな時に可愛がって貰っていた、おじいちゃんの口癖だったと聞いていた。
私が4歳の時に亡くなって、殆ど記憶にはないのだが、大工だったおじいさんは自分を本当に可愛がってくれたらしい。

来年は自分も35歳になる。
23の時に入った今の会社は、傾きながらもなんとか倒産せずに続いている。
給料は、もう5年も上がってないけれど。
学生時代の友人達も半分は結婚した。
自分の恋人いない暦は、もう十年。
これと言った幸福も無い代わりに、これと言った不幸もなく、なんだか「普通」に生きている。

今更結婚に憧れる事も無く、今更恋人欲しい訳でもなく、もうちょっと給料上げて欲しいけれど、会社が潰れちゃ元も子もないし、波風は立って欲しいような、欲しくないような。

で、淡々と過ぎる毎日に、変化をつけているのが、5年前に始めたゴルフだけ。
学生時代の仲間に誘われ、会社の上司に誘われて、安いセットと、安い練習場と、安いコースに行くようになって、生きている事の熱はゴルフにだけ高くなるような。

ベストスコアは98、いつも叩くのは116~8。
120切れればまあいいか、と。
なのに、なんだか腹が立つ。
なんだか口惜しくて仕方が無い...自分に、道具に、コースに、天気に、出くわす不運とつまらない人生に。
「テヤンデエベラボーメ!」
そんな時に、頭に浮かぶあの言葉。
「テヤンデエベラボーメ!」
呟くと気持ちがなんだか落ち着くような。
「テヤンデエベラボーメ!」
口に出すと、なんだか力が湧いて来るような...

おじいちゃんは、仕事がうまくいかなかったり、行き詰まったり、なんだかか辛そうな時に、自分を励ますようにこの言葉を呟いていた、と母に聞いた。
母はそんな言葉は使うなと言うけれど、隔世遺伝かな、自分はこの言葉が凄く好き。
意味は良くわからないけど、なんだか辛い事や嫌な事、全部まとめて蹴っ飛ばしてしまうような感じがする。

「テヤンデエベラボーメ!」
...思えば、(小さい時に聞かされていた)この言葉が頭の中に浮かび上がって来たのは、何もかもうまくいかなくて、泣きたい気持ちになったラウンドの時が最初だったっけ。

おじいちゃん、あなたの孫は、今日もゴルフ場で、仕事場で、こっそりこの言葉呟いて、負けないように生きてます。
おじいちゃん、この言葉って、面白くもない人生を面白くする言葉かもしれないね。

「テヤンデエベラボーメ!」
さあ、今からの新しい人生を、私は絶対捨てないぞ。